著者
栗栖 悠貴 稲澤 容代
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

中央教育審議会の答申(2016年(平成28年)12月「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」)にて,高等学校において新たな必履修科目として「地理総合」の設置を求めるなど,地理教育が重要視されている.また,その実施にあたっては,各教科等の教育内容を総合的に捉えて教育課程を編成する「カリキュラム・マネジメント」の重要性が指摘された(2017(平成29)年2月報告「小学校におけるカリキュラム・マネジメントのあり方に関する検討会議」報告書より).しかし,教科横断的な学習を早期に実現するためには,①簡易に利用できる教材②具体的な実践事例などが必要である.教科としての地理は社会科の分野に位置づけられるが,地形や空間的な位置関係を把握するための手段として,地理的な考え方を活用すると教科横断的な学習が可能となる.本報告では,特別なGISソフトが不要なウェブ地図であり,有用な地理空間情報が豊富に掲載されている地理院地図<https://maps.gsi.go.jp/>を利用して,地形を切り口とした教科横断的な学習や地域学習を支援するための具体的な活用例(参考:国土地理院応用地理部ツィッター<https://twitter.com/gsi_oyochiri>)を中心に紹介すると共に,考察を深める際に利用できる地理院地図の便利な機能について紹介する.
著者
栗栖 悠貴 小島 脩平 稲澤 容代
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

近年、地理院地図に代表されるように地理空間情報技術のめざましい発達により、誰でも容易に地理空間情報を扱えるようになった。その結果、災害対応をはじめ様々な分野で地理空間情報は効果的に活用されている。しかし、平成26年8月豪雨や平成27年9月関東・東北豪雨に伴う被害状況を振り返ると、事前に土砂災害危険箇所や浸水想定区域などの自然災害リスクに関する地理空間情報が被災地で十分浸透していたとは言い難い。その原因の1つにそれらの情報からリスク情報を解読する難しさがある。自然災害リスクに関する地理空間情報を分かりやすく伝えることは、被害軽減対策の1つとして重要である。<br>本報告は、災害時の被害軽減対策を促すために重要な自然災害リスクに関する地理空間情報を分かりやすく伝えるための工夫を紹介するものである。効果的に伝える工夫として次の方法がある。<br>①土地の成り立ちと自然災害リスクの関係をワンクリックで確認できる地形分類データ。<br>②身近な自然災害リスクを伝えるハザードマップポータルサイト。<br>③浸水被害範囲の時系列変化がわかる地点別浸水シミュレーション検索システム。<br>しかし、これらはツールであり利用されなければ被害軽減にはつながらない。<br>そのため、今後有用なツールを活用してもらうような広報活動をしていくことが必要である。