著者
井上 真琴 小川 千代子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.1-11, 2006

<p>図書館でのアーカイブ資料の取扱いは大きな課題である。通常の図書資料とは性格が異なるため,アーカイブ資料の特性を活かすためには,独自の整理方法と利用方法が必要になる。しかし,アーキビストのスキルを持った図書館員の養成は容易ではなく,未整理のまま置かれている資料も多い。同志社大学ではその打開策として,図書館員がアーカイブ資料の性格や取扱いを認識したうえで,アーカイブ資料の整理にアウトソーシングを利用する試みを行った。この企画から整理公開へいたるプロセスを,発注側担当者と業務指導コンサルタントそれぞれの立場から詳述し,課題解決の実践例として報告する。</p>
著者
小川 千代子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.340-350, 2005 (Released:2005-09-01)

文書館,記録管理分野は,資料の確実な保管・保存を前提とした利用提供がその使命であり,業務の中核である。歴史資料を扱う文書館は外部利用者による所蔵資料利用のために資料の収集・保管・保存を行うのが業務であることから,阪神淡路大震災以後防災対策の必要性が強く意識された。そのため,文書館とその職員で構成する全国歴史資料保存利用機関連絡協議会が中心となり,防災対策のマニュアル開発が行われた。これに対し記録管理分野は少し様相が異なる。記録管理はあらゆる組織の日常業務そのものである。防災が記録管理の一部であることは知られているものの,防災対策そのものを個別に取り上げて記録管理分野のなかで議論されている様子は見られない。「阪神」以後に危機管理(リスクマネジメント)が叫ばれるようになった。意識としては,記録管理の防災は日常的なバックアップシステムなどを含め,リスクマネジメントに包含されたと見られている可能性がある。これとは別に,文書館に収蔵されていない非現用歴史資料については,災害発生後の災害対応として被災資料の救出は,主として利用者の立場にある大学の研究者らが「史料ネット」を組織するなどして行われている。この中から,災害復旧には生活インフラのみならず文化財救助も含めるべきであるとする考え方が生まれた。