著者
小川 啓太 深林 太計志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.497, pp.65-70, 2004-12-03
被引用文献数
1

音声のピッチ抽出は,雑音の影響を受けることにより困難になることが知られている.そこで,耐雑音性向上アルゴリズムについて提案する.シングルマイクロホンを用いたシステムを想定して,アルゴリズムを構築している.まず,周波数領域において,低域の減算量を考慮したスペクトル減算と,ブラインド分離による雑音低減を行った.ここで用いられる雑音スペクトルはフレーム毎に,観測信号スペクトルから推定している.この2つの雑音低減処理を行った信号スペクトルの振幅の2乗の逆フーリエ変換から自己相関係数列を得た.次に,このようにして得られた自己相関係数列にコサイン変調を施し,ピッチ周期情報を強調した.コサイン変調周波数成分にはスペクトルの調波から得られるピッチ候補周波数を用いた.実験で,提案法でのピッチ抽出率が良くなることを示す.
著者
小川 啓太 Hamid M. E. 深林 太計志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.572, pp.25-30, 2006-01-20

本稿において, 雑音を含む音声のピッチ抽出法を提案する. これは, シングルマイクロホンを用いる方法である. 初めにただ一つの観測信号, すなわち雑音を含む音声から1次雑音を推定し, その1次雑音と観測信号を用いて, スペクトル領域でのブラインド信号分離(BSS)により2次雑音を推定する. 次に, 雑音と音声は無相関であると仮定して, 2次雑音の自己相関関数(ACF)の振幅を調整して, 観測信号のACFから引くことにより, 雑音の低減された目的のACFを求める. 2次雑音のACFの減算時の振幅調整には推定した雑音の程度を用いる. この雑音の程度はあらかじめ用意し観測信号のACFから求まるパラメータの関数から得ている. そして, スペクトルの調波から求めたピッチ候補周波数を用いて雑音の低減されたACFにコサイン変調を施し, 低域を強調する. このようにして得られたACFを用いたピッチ抽出法とその評価実験結果について述べる.