著者
深林 太計志 柴田 廣光 杉浦 聡 渡辺 淳二
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.675-682, 1997-09-01 (Released:2017-06-02)

本論文では極零型分析による零点パラメータから求まる零点ケプストラム係数を用いる基本特徴ベクトルの四つの構成法について, 有声子音認識におけるその有効性を検討した。その結果, 極零点ケプストラム係数と零点ケプストラム係数から構成される基本特徴ベクトルのような, 零点ケプストラム係数をそれ独自で特徴ベクトルの成分とする方法がよい結果をもたらすことを示した。このような特徴ベクトルを用いると, 従来のLPCケプストラム係数を成分とする基本特徴ベクトルを用いる場合に比べ, 有声子音認識において, どの音素に対してもよい認識結果となること, ほとんどの話者に対しても, 認識結果がよくなることを示した。
著者
松浦 正樹 深林 太計志 立蔵 洋介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.329, pp.7-12, 2003-09-29
参考文献数
12

女声のような高ピッチ音声の分析精度を改善することを目的として,線形予測分析・合成により線形予測残差(以下これを残差と呼ぶ)そのものを利用してピッチ周期を可変伸長処理し,ピッチ周期毎に窓を掛け波形を分離して,フレーム内の波形を一括線形予測分析する方法を既に提案している.この方法で残差そのものを利用可能にするのは,残差へのオールパスフィルタリング処理により,残差のピッチ周期毎への分離が残差のもつ有用な音声スペクトル包絡情報の一部に悪影響を及ぼすことなく容易に行えるためである.本論文では,この提案法について,オールパスフィルタのパラメータや'0'系列挿入位置等の種々の分析条件,声門開口比による分析精度を検討し,分析条件の制約が厳しくないことを示す.
著者
小川 啓太 深林 太計志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.497, pp.65-70, 2004-12-03
被引用文献数
1

音声のピッチ抽出は,雑音の影響を受けることにより困難になることが知られている.そこで,耐雑音性向上アルゴリズムについて提案する.シングルマイクロホンを用いたシステムを想定して,アルゴリズムを構築している.まず,周波数領域において,低域の減算量を考慮したスペクトル減算と,ブラインド分離による雑音低減を行った.ここで用いられる雑音スペクトルはフレーム毎に,観測信号スペクトルから推定している.この2つの雑音低減処理を行った信号スペクトルの振幅の2乗の逆フーリエ変換から自己相関係数列を得た.次に,このようにして得られた自己相関係数列にコサイン変調を施し,ピッチ周期情報を強調した.コサイン変調周波数成分にはスペクトルの調波から得られるピッチ候補周波数を用いた.実験で,提案法でのピッチ抽出率が良くなることを示す.
著者
小川 啓太 Hamid M. E. 深林 太計志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.572, pp.25-30, 2006-01-20

本稿において, 雑音を含む音声のピッチ抽出法を提案する. これは, シングルマイクロホンを用いる方法である. 初めにただ一つの観測信号, すなわち雑音を含む音声から1次雑音を推定し, その1次雑音と観測信号を用いて, スペクトル領域でのブラインド信号分離(BSS)により2次雑音を推定する. 次に, 雑音と音声は無相関であると仮定して, 2次雑音の自己相関関数(ACF)の振幅を調整して, 観測信号のACFから引くことにより, 雑音の低減された目的のACFを求める. 2次雑音のACFの減算時の振幅調整には推定した雑音の程度を用いる. この雑音の程度はあらかじめ用意し観測信号のACFから求まるパラメータの関数から得ている. そして, スペクトルの調波から求めたピッチ候補周波数を用いて雑音の低減されたACFにコサイン変調を施し, 低域を強調する. このようにして得られたACFを用いたピッチ抽出法とその評価実験結果について述べる.