著者
小川 暢祐 本島 佑香 村上 美音
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

[目的] 大学期の青年は、少なくとも食の面ではほぼ自立段階に達するが、生活リズムの乱れや偏食等、好ましくない生活習慣が固定化してしまうのを、大学教育等の介入を通じ是正させることは可能だろうか。本発表はそのような問題意識に立ち、前提となる、現代の大学生の嗜好・喫食パターンを、いわゆる学食の販売データから推定し、栄養摂取状況改善に寄与できる新規メニューを企画することを目的とした。<br>[方法] 大学学生食堂の販売月次データに基づき、各メニューに対する選好傾向を把握してソーティングしたうえで、使用食材や価格、あるいは期間限定フェアといった要因ごとに選好理由を推定した。その際、たとえば「鶏の照焼」と「ローストチキン」といった、いわば同工異曲的なメニューの併存にも注意を払い、選択式/記述式アンケートにより選好理由を絞り込み、要因の特性をある程度明確化した。次いで、得られた要因から、栄養機能のより高い食材・調理法を用いるメニューへの展開可能性を検討した。<br>[結果] 友人同士で談笑しながら昼食を摂る、というかつての喫食パターンにもまして、携帯電話の画面操作をしながら喫食する等の事例が増加していることに伴い、ある特徴をもつ品目の被選好傾向が高いこと等が明らかとなった。それをふまえ、学生食堂の既存メニューにはない、栄養機能の高い、かつ選好されることが期待される新商品のコンセプトを策定した。