著者
小川 美由紀
出版者
首都大学東京都市環境科学研究科都市システム科学域「都市科学研究」編集委員会
雑誌
都市科学研究 (ISSN:18830218)
巻号頁・発行日
no.3, pp.5-14, 2010-03-30 (Released:2016-08-04)

1980年代以降の資本主義システムの再編成は先進国の産業構造を変動させた。その結果、工業をエンジンとして 20世紀前半まで成長発展を続けた先進国の都市は、ポスト工業時代における生き残りをかけ、産業構造転換の中で都市の活性化に取り組むこととなった。こうした転換は人的資本の意味を工場労働者から知的生産に携わる人々を意味することへと転換させた。そしてこの新しい人的資本の集積が都市の活力の鍵を握るようになった。以上を踏まえ、本稿では次の二つの仮説を設定した。(1)産業構造転換の中で情報主義( Informational mode of development)という新しい発展様式(Mode of development)を取り入れた都市(自治体)が、都市の活性化のために、その発展様式に即した人的資本の集積を目標とするようになる。(2)その目標を達成するため、新しい人的資本が好む利便性や快適性が問われるようになり、その結果として都市空間には人的資本を惹きつける都市アメニティが必要とされるようになる。これらの仮説について、横浜市をケースとして検証を行った。横浜市は京浜工業地帯を抱える工業都市であるが、近年、文化・芸術を梃子とする都市再生ビジョンによって都市の活性化を図っている。検証の結果は、仮説に適合する現象が認められることとなった。 Reorganization of the city space has been prosperous in the advanced country of recent years. The reason is that the necessity for the managment of urban renewal for their survival happened in those cities which make industry as an engine and continued the growth development until the 20th first half of the century. In this post-industrial age, the meaning of the human capital is converted from the industrial laborer to the knowledge worker, and. the accumulation of this new human capital becomes the key to the growth of the city. In this paper, I set up two hypotheses. It is as follows; 1 In the Industrial transformation of economic structure, the city comes to aim at the accumulation of the new human capital for the new development style. 2 It is necessary to give them convenience and comfort to achieve this target. The amenity is attached to importance for its achievement. Consequently, the urban amenity comes to have the huge influence in the accumulation the human capital on the city renewal. Yokohama City that has an eminent industrial zone in Japan is submitting urban regeneration vision “Creative City Yokohama” in 2004. Therefore, the case study in this paper is targeted to this city for testing these hypotheses. As a result of the verification, these are proven positively.
著者
中澤 理恵 坂本 雅昭 中川 和昌 猪股 伸晃 小川 美由紀 武井 健児 坂田 和文 中島 信樹
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.C0562-C0562, 2008

【目的】<BR> 我々は,応急処置および傷害予防を目的とし,平成16年度から年間4大会開催される群馬県高等学校体育連盟(高体連)サッカー競技大会において,理学療法士(PT)によるメディカルサポートを行ってきた。それらの内容はすでに,第40回・第41回本学会で報告済みである。本研究の目的は,過去3年間の群馬県高体連サッカー競技におけるメディカルサポートの内容を整理し,今後の課題を明らかにすることである。<BR>【対象及び方法】<BR> 対象は平成16年度(H16),平成17年度(H17),平成18年度(H18)に開催された群馬県高体連サッカー競技12大会に出場した544校703試合とした。年間に開催される大会は,群馬県高校総合体育大会,全国高校総合体育大会群馬県予選,全国高校サッカー選手権大会群馬県予選,新人大会兼県高校サッカーリーグの4大会である。PTのボランティア参加の募集は群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じて行い,各会場2名以上常駐するように配置した。また,メディカルサポートの内容は,試合前の傷害予防・リコンディショニング目的のテーピング等のケア,試合中(原則選手交代後)及び試合後の外傷に対する応急処置,ケアの指導とした。<BR>【結果及び考察】<BR> 参加したPTの延べ人数はH16:205名,H17:167名,H18:153名の計525名であった。メディカルサポートで対応した総学校数は延べ343校65%であり,H16:124校68%,H17:115校68%,H18:104校60%と各年とも6割以上の学校がサポートを利用していた。H18の対応校割合の減少は,PTが専属に所属する学校数が増加したことが要因と考える(H16:5校,H17:6校,H18:8校)。また,対応選手数は延べ1355名(H16:514名,H17:481名,H18:360名)であり,対応件数は2461件(H16:847件,H17:938件,H18:676件)であった。その傷害部位の内訳は上肢221件,体幹232件,下肢1944件であり,足関節が753件31%と最も多く,サッカー選手の傷害に関する過去の報告と同様の結果となった。また,サポート内容の内訳はテーピング1327件54%(H16・H17:各54%,H18:53%),アイシング550件23%(H16:23%,H17:22%,H18:21%),ストレッチング266件11%(H16:11%,H17:10%,H18:12%),止血処置31件1%(H16:2%,H17・H18:各1%),傷害確認及び今後のケア指導287件12%(H16:8%,H17・H18:各13%)であり,H17からは傷害確認及び今後のケア指導の割合が増加した。傷害に対するその場での対応のみならず,今後のコンディショニングやリコンディショニングに関する指導技術の向上を図る必要性が示された。