著者
中澤 理恵 坂本 雅昭 中川 和昌 猪股 伸晃 小川 美由紀 武井 健児 坂田 和文 中島 信樹
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.C0562-C0562, 2008

【目的】<BR> 我々は,応急処置および傷害予防を目的とし,平成16年度から年間4大会開催される群馬県高等学校体育連盟(高体連)サッカー競技大会において,理学療法士(PT)によるメディカルサポートを行ってきた。それらの内容はすでに,第40回・第41回本学会で報告済みである。本研究の目的は,過去3年間の群馬県高体連サッカー競技におけるメディカルサポートの内容を整理し,今後の課題を明らかにすることである。<BR>【対象及び方法】<BR> 対象は平成16年度(H16),平成17年度(H17),平成18年度(H18)に開催された群馬県高体連サッカー競技12大会に出場した544校703試合とした。年間に開催される大会は,群馬県高校総合体育大会,全国高校総合体育大会群馬県予選,全国高校サッカー選手権大会群馬県予選,新人大会兼県高校サッカーリーグの4大会である。PTのボランティア参加の募集は群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じて行い,各会場2名以上常駐するように配置した。また,メディカルサポートの内容は,試合前の傷害予防・リコンディショニング目的のテーピング等のケア,試合中(原則選手交代後)及び試合後の外傷に対する応急処置,ケアの指導とした。<BR>【結果及び考察】<BR> 参加したPTの延べ人数はH16:205名,H17:167名,H18:153名の計525名であった。メディカルサポートで対応した総学校数は延べ343校65%であり,H16:124校68%,H17:115校68%,H18:104校60%と各年とも6割以上の学校がサポートを利用していた。H18の対応校割合の減少は,PTが専属に所属する学校数が増加したことが要因と考える(H16:5校,H17:6校,H18:8校)。また,対応選手数は延べ1355名(H16:514名,H17:481名,H18:360名)であり,対応件数は2461件(H16:847件,H17:938件,H18:676件)であった。その傷害部位の内訳は上肢221件,体幹232件,下肢1944件であり,足関節が753件31%と最も多く,サッカー選手の傷害に関する過去の報告と同様の結果となった。また,サポート内容の内訳はテーピング1327件54%(H16・H17:各54%,H18:53%),アイシング550件23%(H16:23%,H17:22%,H18:21%),ストレッチング266件11%(H16:11%,H17:10%,H18:12%),止血処置31件1%(H16:2%,H17・H18:各1%),傷害確認及び今後のケア指導287件12%(H16:8%,H17・H18:各13%)であり,H17からは傷害確認及び今後のケア指導の割合が増加した。傷害に対するその場での対応のみならず,今後のコンディショニングやリコンディショニングに関する指導技術の向上を図る必要性が示された。
著者
佐々木 沙織 小保方 祐貴 菅谷 知明 河内 淳介 福原 隆志 中澤 理恵 坂本 雅昭 中島 信樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】我々は,2004年度より高校サッカーメディカルサポートを開始し,2013年度で10年目を迎えた。県大会の全試合を対象に,会場本部における試合前・中・後のサポートを行ってきたが,近年はマンパワー不足により全会場にスタッフを配置することが困難となってきている。今後,継続してメディカルサポートを行っていくうえで,本研究会のメディカルサポートに対して需要の高い試合にスタッフを配置し,効率かつ効果的な運営を行う必要があると考える。そこで,群馬県高等学校体育連盟サッカー競技大会における準々決勝~決勝戦及び1~3回戦に対するサポート対応件数を調査し,試合レベルの違いとメディカルサポート対応件数との関係について検討した。【方法】対象は,2010年~2013年度に開催された群馬県高等学校体育連盟サッカー競技15大会881試合のうち,2010年度・2011年度に準々決勝~決勝戦でサポートを実施した8大会53試合(以下,準々決勝~決勝戦群)と,2012年度・2013年度に1~3回戦でサポートを実施した7大会315試合(以下,1~3回戦群)とした。調査項目はメディカルサポート対応件数とし,各群における1試合当たりの対応件数を求めた。メディカルサポートスタッフの募集は,群馬スポーツリハビリテーション研究会を通じてボランティア参加を集い,各会場1名以上の理学療法士を配置した。メディカルサポートの内容は,傷害に対するテーピング,アイシング,ストレッチング,止血処置,傷害確認,今後の指導とした。【倫理的配慮,説明と同意】本報告の目的及びデータ処理に関する個人情報保護について群馬県高等学校体育連盟サッカー専門部に十分説明し,同意を得たうえで実施した。【結果】準々決勝~決勝戦群の対応件数は50件であり,1試合当たりの対応件数は0.94件であった。1~3回戦群の対応件数は521件であり,1試合当たりの対応件数は1.65件であった。【考察】準々決勝~決勝戦群と比較して,1~3回戦群での1試合当たりの対応件数が多かった。その理由として,1~3回戦群はトレーナー不在のチームが多いことが予想され,会場に配置されたメディカルサポートへの要請が多かったのではないかと考える。今回の結果より,メディカルサポートへの需要は,準々決勝~決勝戦と比較して1~3回戦で高いということが確認された。過去の報告から,メディカルサポートを行っていくうえでスタッフのマンパワー不足が問題とされており,本研究会においても同様の問題が生じている。今回の結果から,1~3回戦におけるメディカルサポートへの要請が多く,それらの試合にサポートを集中させることで,より選手や監督のニーズに応えることが可能となると考える。また,スポーツ現場で理学療法士が活躍する機会が増えることで,メディカルサポート活動の普及につながるものと考える。メディカルサポートスタッフに対する勉強会や技術指導などの教育体制を確立し,メディカルサポートに興味のある理学療法士が参加しやすい環境を整えることで,スタッフの増員を図り,マンパワー不足を改善することが今後の課題である。【理学療法学研究としての意義】群馬県高校サッカーメディカルサポートにおける,試合レベルの違いと対応件数との関係性を調査した結果,準々決勝~準決勝と比較して1~3回戦においてメディカルサポートに対する需要が高いことが明らかとなった。本調査結果は,理学療法士によるメディカルサポート活動の普及のための有益な資料となると考える。