著者
小杉 正紀 右田 俊彦 永井 洋一郎
出版者
日本化學雜誌
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.477-490, 1971
被引用文献数
3

脂肪族化合物の塩素分子と次亜塩素酸t-ブチルによる遊離基的塩素化に対する構造と反応性の関係を系統的に研究する目的で, 2, 2-ジクロルプロパンのメチル水素1個の反応性を基準とする相対的反応性を求めた。<br> CH<sub>3</sub>-X型化合物についてHammett-Taftの取り扱いを行なった結果,相対的反応性の対数とTaftの極性置換基定数&sigma;<sup>*</sup>値との間には直線関係が存在することが明らかになり,塩素原子に対する水素引き抜き反応においては&rho;<sup>*</sup>値は-0.95, t-ブトキシ遊離基に対する水素引き抜き反応においては&rho;<sup>*</sup>値, -0.69を得た。塩素原子による水素引き抜きに関してはクロルアルカン類とそのケイ素類似体の反応性の比較について検討を加えた。ケイ素化合物については&sigma;<sup>*</sup>値を用いて反応性を体系化することはできないが, NMR<sup>13</sup>C-Hカップリング定数を用いると相当する炭素化合物と定量的に反応性を比較検討することができた。<br> また脂肪族化合物を〓,型化合物と考え,置換基(R, R', R'')の極性効果に加成性があるとして取り扱うことにより反応性におよぼす影響を感応効果,共役効果,立体効果に分離できることを示した。