著者
根本君也 小松 光一 堀江 港三 ラファエル ボウエン 友常 健一 池見 宅司 並木 勇次
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯材器 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.992-998, 1992
被引用文献数
12

不定形粒子, 球状微粒子, 球状架橋ポリマー, 大きなガラス球粒子それぞれとMFを混合したフィラーを種々の割合で混入したコンポジットレジンを試作し, 上部開放型窩洞に充〓し, 重合時の力を測定して収縮応力を求めた.その結果, フィラーの充〓率が高くなると収縮応力も大きくなり, 従来の考え方と反した.フィラーの種類による影響では, 不定形の高充〓率の場合に収縮応力が最も大きかった.次に硬化後の試験体上部表面の形状を測定したところ, 中心部が陥没した形態で, フィラーの充〓率が低いと収縮が大きく, その大きさはモノマーの体積分率に比例し, フィラーの種類による差はみられなかった.
著者
根本 君也 小松 光一 池見 宅司
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

コンポジットレジン重合時の収縮応力を小さくするために,モノマー重合時の収縮量を小さくすることは困難である.そこで収縮応力がフィラー量や重合開始剤量と比例することに着目し,組成を変えた材料を組み合わせて用いることによって収縮応力を減少できないかと考えた.応力発生の機構を調べるために,アコースティック・エミッション(AE)を同時測定したところ,応力が発生すると微視破壊によるAEも発生することがわかった.光重合型材料はフォトクリアフィルを,化学重合型材料はクリアフィルFIIを用いて直径6mm,深さ4mmの黄銅製窩洞に充填し,硬化時に発生する応力とAEのカウント数を測定した.光重合の場合は照射を開始すると4〜5MPaの応力を発生するが,同時にAEのカウント数も10〜30発生し,その後,応力の増加に比例してAEのカウント数も増加し,100分後の7〜8MPaに達したとき約100を数え,応力が安定してもAEの発生量は増加を示した.化学重合の場合は練和開始3〜4分後から応力を発生するが,AEのカウント数は10位であり,応力の増加率が減少する40〜50分後の14〜15MPaに達したとき200〜1000位の極めて多量のAEがカウントされ,硬化反応の持続による影響が示唆された.次に芳香族と脂肪族を骨格としたジメタクリレート75:25のモノマーにカンファーキノン0.2,ジメチルアミノエチルメタクリレート0.4%を添加し,フィラー40%の低粘性試作レジンを用いて積層充填を行った.2mmの厚さに低粘性レジンを填入し,60秒間光照射を行った後に,フォトクリアファイルを充填し,60秒間光照射を行った場合は,収縮応力が4MPaと約1/2に減少することができた.