著者
小松 恒太郎 山口 さやか 内海 大介 大嶺 卓也 砂川 文 粟澤 剛 大城 健哉 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.455-459, 2020

<p>壊死性軟部組織感染症は比較的まれな疾患である。我々は 6 カ月間で 4 例を経験し,3 例を救命できた。4 例の初診時主訴は多彩であり,明らかな感染徴候がない例,発熱・嘔吐・下痢など急性胃腸炎様症状を呈した例など,発症初期には軟部組織感染症を疑うことができなかった症例が存在した。1 例は搬送時に全身状態が悪くデブリードマンを行えず死亡,3 例は緊急デブリードマンを行い救命できた。診断には A 群 β 溶血性連鎖球菌抗原キット検査が全例陽性であり非常に有用であった。血液検査では好酸球数の著明な低下と CRP 高値が 4 例に共通していた。A 群 β 溶血性連鎖球菌による壊死性軟部組織症は,初期診断が困難な症例があるが,治療が遅れると致死率が高く,早期診断が重要である。</p>
著者
深井 恭子 小松 恒太郎 松尾 雄司 林 健太郎 苅谷 嘉之 宮城 拓也 山口 さやか 照屋 操 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.115-119, 2019
被引用文献数
1

<p>症例 1:87 歳,男性。18 歳時に L 型ハンセン病と診断された。5 年前から左足背に皮膚潰瘍があり,次第に隆起してきた。初診時,左足背に腫瘤があり,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し,左下腿切断術を施行した。症例 2:54 歳,男性。20 歳で L 型ハンセン病と診断された。43 歳頃より右第1 趾に皮膚潰瘍があり,47 歳時,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し右下腿切断術を施行した。30 代から左足底には胼胝があり,52 歳頃に皮膚潰瘍が出現した。54 歳時,潰瘍が増大し,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し,左第1~3 趾切断術を行った。術後約 3 カ月で術後創部から再発,肺に転移し永眠した。ハンセン病の慢性潰瘍は瘢痕癌の発生母地となる。瘢痕癌は他の有棘細胞癌より予後不良であり,ハンセン病の後遺症による神経障害で生じた難治性潰瘍は注意深く経過観察する必要がある。</p>