著者
山城 充士 山口 さやか 大嶺 卓也 内海 大介 山本 雄一 高橋 健造
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.127, no.12, pp.2641-2645, 2017

<p>14歳,男性.スキーをした翌日に眼瞼,頬部,手背に疼痛を伴う発赤や腫脹を生じた.血中プロトポルフィリン高値,光溶血現象及び蛍光赤血球陽性,肝障害があり骨髄性プロトポルフィリン症と診断した.フェロケラターゼ遺伝子にナンセンス変異(c.361C>T,p.R121<sup>*</sup>)と低発現アレル(IVS3-48C)の複合ヘテロ接合を同定した.父方の祖母,従姉妹らも同様の複合へテロ接合を有していた.一方,無症候の父親と叔母は,ナンセンス変異をヘテロ接合で保持していたが,対側アレルは正常アレル(IVS3-48T)であった.</p>
著者
小松 恒太郎 山口 さやか 内海 大介 大嶺 卓也 砂川 文 粟澤 剛 大城 健哉 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.455-459, 2020

<p>壊死性軟部組織感染症は比較的まれな疾患である。我々は 6 カ月間で 4 例を経験し,3 例を救命できた。4 例の初診時主訴は多彩であり,明らかな感染徴候がない例,発熱・嘔吐・下痢など急性胃腸炎様症状を呈した例など,発症初期には軟部組織感染症を疑うことができなかった症例が存在した。1 例は搬送時に全身状態が悪くデブリードマンを行えず死亡,3 例は緊急デブリードマンを行い救命できた。診断には A 群 β 溶血性連鎖球菌抗原キット検査が全例陽性であり非常に有用であった。血液検査では好酸球数の著明な低下と CRP 高値が 4 例に共通していた。A 群 β 溶血性連鎖球菌による壊死性軟部組織症は,初期診断が困難な症例があるが,治療が遅れると致死率が高く,早期診断が重要である。</p>
著者
片野 あずさ 上里 博 内海 大介 大平 葵 粕谷 百合子 苅谷 嘉之 﨑枝 薫 眞鳥 繁隆 平良 清人 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.469-472, 2014
被引用文献数
1

16 歳,男性。生下時より右肩の皮下結節を自覚していた。結節は徐々に増大し,7 歳時には鶏卵大の皮下腫瘤となった。その後も腫瘤は増大を続け,16 歳時に当科を受診した。右肩に手拳大の表面常色,弾性軟,ドーム状に隆起した皮下腫瘤を認めた。下床との可動性は良好で,隆起部中央に瘻孔を有し,瘻孔内より数本の毛髪の突出がみられた。造影 CT 検査では右肩甲骨背側上方に周囲との境界明瞭な,86×44 ×67 mm の増強効果の無い単房性腫瘤であった。摘出された腫瘤は線維性の被膜を有し,その内部には多数の毛髪と粥状物質がみられた。病理組織学的所見では重層扁平上皮に裏打ちされた囊胞状構造を示し,囊腫壁には毛包,脂腺,平滑筋線維が付随し,皮下皮様囊腫と診断した。一般に皮下皮様囊腫は頭頚部,特に眼周囲に好発し,それ以外の部位に発症することは比較的稀である。囊腫の大きさが 5 cm を超える症例は本邦では自験例を含め 7 例のみが報告されているが,頭頚部以外に発症した報告は自験例のみであった。