著者
小板橋 二三男 進士 五十八
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.786-795, 2010-03

明治38年、東京帝国大学農科大学教授横井時敬は、日本園芸会雑誌に論説「園藝学校設立の必要」を発表している。欧州留学中に各国園芸学校を視察した経験から、園芸学校設立の必要性について次のように記している。「今日の園藝といふものゝ主とする所は先づ第一に花卉、次いで果樹蔬菜などの培養にあるかの如く思はれるが、庭園藝といふことも決して之を等閑にすることが出来ぬ。横井は、図芸作物栽培と、欧米より優れている「庭園芸」(庭園)の教育のために園芸学校の設立が必要だと主張しているのである。本論文では、これまで殆ど知られていない東京府立図芸学校に於ける小澤の造園教育について、新発掘の資料をもとに講師就任の経緯、庭園講義の実態、講義に用いた園方書、さらに小澤の庭園観、造園教育観について明らかにする。