著者
藤原 裕弥 小林 一生 古満 伊里
出版者
東亜大学
雑誌
総合人間科学 : 東亜大学総合人間・文化学部紀要 (ISSN:13461850)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.39-48, 2007-03

本研究は、課題に対する反応時間によって虚偽検出が可能であるか検討した。また、反応時間を指標とした虚偽検出に画像刺激と文字刺激のどちらが有効かについても同時に検討した。16名に模擬窃盗を行わせ有罪群とし、模擬窃盗を行わなかった16名を無罪群とした。模擬窃盗は、実験室に進入し、棚の中の財布からお金を盗むという内容であった。虚偽検出課題としてdot-probe探査課題を用いた。この課題では、刺激対を呈示し、その後それらの刺激対のどちらか一方に呈示されるドットの位置をボタン押しによって回答させた。刺激対は、画像刺激の組み合わせか、文字刺激の組み合わせを用いた。裁決項目に対する反応時間が速ければ、裁決項目に対して注意を向けたことを示す。実験の結果、財布画像を刺激として用いたとき、有罪群において無罪群よりも有意に裁決項目に対して速く反応することがわかったが、他の刺激項目では差は認められなかった。また、画像刺激対を用いた場合に、有罪群の裁決項目に対する反応時間が速くなる可能性が示された。このことから、反応時間を指標とした虚偽検出は、刺激の種類によって有効性に差がある可能性が示された。