著者
小林 快斗 川端 祐一郎 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00061, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
18

近年,地元に根付いた生活を重んじる「サムウェアズ」と,地域や国境を越えた自由な生き方を重んじる「エニウェアズ」の間の価値観対立が先鋭化しているとする理論が,土木計画に関わる議論を含めた総合的な社会評論に活用されている.しかしこれらの価値観の定量分析は不十分であり,その規定要因や他の心理的傾向との関連性の実証的分析も行われていない.本研究ではサムウェア性/エニウェア性を計測する尺度を使用し,それらに影響を与える個人属性や,「大衆性」「利他性」といった道徳心に関わる心理尺度との関連性を分析した.その結果,現居住地に長く住んでいるほどサムウェア的になる一方で,所得,学歴,職業,居住地域等の影響は小さいことが明らかになった.また,サムウェアズはエニウェアズと比べて道徳的である可能性が示唆された.