著者
端山 好和 木崎 喜雄 青木 清 小林 摂子 戸谷 啓一郎 山下 昇
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.4, pp.61-82, 1969-01-31
被引用文献数
6

上越地方には, 変成岩および蛇紋岩の小岩体が各地に散在するが,その多くは,もと片状岩類だったものが白亜紀ないし第三紀の花崗岩の接触変成作用によってホルンヘルス化した複変成岩である。いっぽう, 谷川岳頂上のルーフペンダント, およびジュラ系(岩室層)ないし第三系(栗沢層)の礫岩に見出される結晶片岩礫には,藍閃片岩または藍閃片岩相地域に特徴的な変成岩が認められる。これらによって, 上越地方には, 少くもジュラ紀から中新世にかけて, 藍閃石型広域変成帯が実在したと推定され,現在はほとんど失なわれているが,これを上越変成帯と名付けた。さらに次の理由から,上越変成帯を,飛騨高原をとりまく結晶片岩帯の東方の延長と考えた。1)上越変成帯の東縁をなす片品構造帯は種々の点から飛騨外縁構造帯に類似する,2)結晶片岩の変成様式が両地域で共通する,3)変成作用の時期が同じ,4)両変成帯の外側に分布する非変成古生層(丹波帯と足尾帯)は連続している,5)両地域の地史がよく似ている。