著者
端山 好和
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.97, no.6, pp.475-491, 1991-06-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
71
被引用文献数
6 7
著者
端山 好和 木崎 喜雄 青木 清 小林 摂子 戸谷 啓一郎 山下 昇
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.4, pp.61-82, 1969-01-31
被引用文献数
6

上越地方には, 変成岩および蛇紋岩の小岩体が各地に散在するが,その多くは,もと片状岩類だったものが白亜紀ないし第三紀の花崗岩の接触変成作用によってホルンヘルス化した複変成岩である。いっぽう, 谷川岳頂上のルーフペンダント, およびジュラ系(岩室層)ないし第三系(栗沢層)の礫岩に見出される結晶片岩礫には,藍閃片岩または藍閃片岩相地域に特徴的な変成岩が認められる。これらによって, 上越地方には, 少くもジュラ紀から中新世にかけて, 藍閃石型広域変成帯が実在したと推定され,現在はほとんど失なわれているが,これを上越変成帯と名付けた。さらに次の理由から,上越変成帯を,飛騨高原をとりまく結晶片岩帯の東方の延長と考えた。1)上越変成帯の東縁をなす片品構造帯は種々の点から飛騨外縁構造帯に類似する,2)結晶片岩の変成様式が両地域で共通する,3)変成作用の時期が同じ,4)両変成帯の外側に分布する非変成古生層(丹波帯と足尾帯)は連続している,5)両地域の地史がよく似ている。
著者
加々美 寛雄 飯泉 滋 大和田 正明 濡木 輝一 柚原 雅樹 田結庄 良昭 端山 好和
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.44, pp.309-320, 1995-11-30
被引用文献数
10

瀬戸内・近畿地方の領家帯地域に分布する火成岩類の活動時期は, ジュラ紀初期-中期, 後期白亜紀, 中新世中期の3回である。最初のジュラ紀初期-中期に活動した火成岩類は領家花崗岩中に捕獲岩体として分布するはんれい岩, 変輝緑岩である。前者は下部地殻条件下 (6-8 kb) におけるソレアイト質マグマからの早期晶出相と考えられる。ノーライト, 角閃石はんれい岩, 変輝緑岩によるSm-Nd全岩アイソクロン年代は192±19 Maである。また, ノーライト, 角閃石はんれい岩中に不規則な形の産状を示す斜長岩質はんれい岩のSm-Nd全岩年代は162±29 Maである。後期白亜紀の火成活動は約110 Ma 前, 安山岩質マグマの活動で始まり, その後, 花崗岩の大規模な深成作用に引き継がれた。この深成作用は100-95 Maと80-75 Maの2つの時期に分けることができる。中新世中期の火成活動はユーラシア大陸から西南日本が分離, 移動したことにより引き起こされたものである。日本海形成(15 Ma)に関係した火成活動は, ユーラシア大陸東縁部の狭い範囲で始新世後期-漸新世初期に始まった。ジュラ紀初期*中期火成岩類の ^<87>Sr/^<86>Sr初生値, εNd初生値は後期白亜紀花崗岩類のこれらの値と似ている。このことは両火成岩類が似た起源物質から形成されたことを暗示している。一方, 中新世中期火成岩類のSr同位体比初生値, εNd初生値は以上の火成岩類の値とは著しく異なっている。中新世中期の日本海形成とともに, 西南日本弧の大陸性リンスフェアがフィリピン海プレート上にのし上げた。この出来事によって, 瀬戸内, 近畿領家帯地域下のリンスフェア・マントルはLILあるいはLREE元素に枯渇した化学組成をもつ様になった。中新世中期に活動した玄武岩はこの様にして形成された新しいマントルから形成された。高マグネシア安山岩は玄武岩を形成したマントルより浅い, 沈み込むプレートに由来する流動体相の影響を受けたマントルから形成された。安山岩, 石英安山岩は上部マントル由来のマグマと下部地殻の部分溶融によって出来たマグマとの混合物から形成された。それらのSr同位体比初生値とεNd初生値は, 下部地殻の部分溶融によって出来たマグマの寄与の程度により変わる。この下部地殻は苦鉄質化学組成をもち, 西南日本弧の後期白亜紀に活動した花崗岩類にとっても重要な起源物質である。