著者
町田 竜也 松岡 陽 小林 秀一郎 尾関 全 石坂 和博 岡 輝明
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.257-259, 2003-05

33歳男.会陰部腫瘤,歩行困難を主訴とした.4年前よりの会陰部腫瘤が徐々に増大し,歩行困難と坐位圧迫での疼痛をきたした.会陰部中央に小児頭大の腫瘍を認め,骨盤部MRIで壁の薄い嚢胞状腫瘤を認めた.内部は均一で,T1強調像にて低信号,T2強調像にて高信号を示し,液体成分と考えられた.骨盤内への浸潤や尿道,直腸との交通はなかった.会陰部の嚢胞状腫瘍の診断で腰痛麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.嚢腫は球尿道海綿体筋を挟んで尿道とは離れていた.浸潤所見はなく完全摘除され,術後1年経過で再発も認めない.病理組織学的所見では内面は角化重層扁平上皮で覆われ,内腔に角化物質を多量に含んでいた.皮膚付属器や皮膚以外の組織は認められず,悪性所見も認められなかったためepidermal cystと診断された.会陰部のepidermal cystは稀で,自験例を含め本邦では6例の報告があるのみであった