- 著者
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上司 裕史
原田 英治
大林 明
矢倉 道泰
福田 彰
片山 透
岡 輝明
市川 光洋
宮村 達男
- 出版者
- 一般社団法人 日本肝臓学会
- 雑誌
- 肝臓 (ISSN:04514203)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.3, pp.235-242, 1991
慢性肝疾患(CLD),肝細胞癌(HCC)の550例についてHCV抗体をEIA法により測定し,成因別検出頻度をみた.NANB型では輪血歴の有無にかかわらず,きわめて高率(74%,225/306)に検出された.B型では9% (8/88)であったが,陽性者の大半に輸血歴があった.アルコール多飲者のCLDでは,輸血歴のある症例を除いても比較的高率(20%, 10/51)であった.しかし,断酒後のASTの推移と,肝生検像からアルコール性CLDと診断された症例群での検出率は低かった(6~7%).多飲歴をもつHCCでは高率(59%, 20/34)で,NANB型HCC (67%, 28/42)との間に有意差を認めなかった.この知見から,多飲者CLDからの発癌の大部分にもHCV感染の関与していることが示唆された.なお,補足的観察としてアルコール依存症についてHCV抗体を測定し,8% (4/48)とやや高い検出率をえた.