著者
金子 翔太 小林 郁太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.2, pp.280-288, 2013-02-01

本論文では,SNS活発化要因の解明を目指して,Web参加者特性の解析を行う.近年,利用者の増加が目立つSNSのアクセス数や投稿数の動向を調査すると,コメント数の経時変化が収束する,トピックごとのコメント累積数がべき乗則の傾向をもつ,という二つの特徴的な結果が得られた.そこで,マルチエージェントモデルを用いて,SNSコミュニティにおけるコメント行動をモデル化し,シミュレーションを行った結果,コメント数の増加に従い参加者のコメント確率が累乗的に減少する場合にのみ二つの特徴的な結果を再現でき,実測値とも良い一致を示すことが分かった.つまり,参加者の属性として累積したコメント数の増加に従いコメント確率が累乗則で減少することを見出した.更に,実測値からモデルを用いて逆算することにより,Webコミュニティ内のトピックへ参加者が感じる魅力分布は2極化の形状が現れることを示した.これは行動学,心理学分野で導かれた消費市場へ感じる2極化魅力分布とよく一致することを示した.