著者
大川 裕司 宮川 和典 鈴木 四郎 高畠 保 江上 典文 谷岡 健吉 小楠 功一 小林 昭 平井 忠明
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 25.39 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.25-30, 2001-06-20 (Released:2017-06-23)

新Super-HARP(High-gain Avalanche-Rushing amorphous Photoconductor)膜は、アモルファスセレンを主成分とする光電変換膜で、膜内での電子のアバランシェ増倍現象を利用することで超高感度を実現している。この新Super-HARP膜を使用した撮像デバイスは、非常に暗いシーンの撮影に使用されるが、その際にはショットノイズによる画質劣化が問題となる。そこで、このショットノイズの影響を軽減するため、新Super-HARP膜の緑色光に対する量子効率の改善に取り組んだ。新しい膜構造の設計にあたっては、アモルファスセレン層の一部にテルルを添加した領域を設けるとともに、このテルル添加領域を入射光(信号電極側)寄りに挿入することでその増感効果を一層高めることとした。これによって、カラーカメラの画質に大きな影響をおよぼす緑色光での量子効率を従来の約2倍に高めることができた。また、ショットノイズのみを考慮したS/N_<shot>を評価した結果、緑色光で約3dBの改善が認められた。
著者
松原 智樹 大川 裕司 宮川 和典 鈴木 四郎 高畠 保 江上 典史 谷岡 健吉 小楠 功一 小林 昭 平井 忠明 河合 敏昭 本坊 正典 吉田 哲男 内田 徹也 盛 英三
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.35-38, 2002
参考文献数
7
被引用文献数
2

超高感度・高画質と高信頼性とを両立させたハイビジョンカメラを実現するため、厚さ15μmの新Super-HARP膜でのハイライトきず(強いスポット光が入射したときに生じる白きず)の発生防止に取り組んだ。膜の動作温度ときず発生との関係を調べた実験から、膜の動作温度を従来(約25℃)よりも高温側にシフトさせることでハイライトきずの発生が抑制できることを見い出した。この動作モードでの実用化を目指して耐熱性向上の研究に取り組み、不純物添加濃度の最適化で、きず発生を抑制できる温度での安定動作を可能とした。本膜を適用した超高感度ハイビジョンハンディカメラは信頼性や機動性にも優れ、夜間緊急報道等の放送用途のほか医学研究や科学分野等で活用されている。