著者
岡田 三津子 長谷川 勝久 小橋 愛子 鈴木 弥生 原之薗 裕三枝 大田 恵子 筒井 康子 角田 智恵美 岡 敏江
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.63-78, 2008

昨年、我が国では10〜20代を中心に麻疹が流行し、高校や大学の休校が相次いだ。九州女子短期大学および九州女子大学では、麻疹対策のために2007年と2008年に無料で学生に抗体価測定を実施した。抗体測定にはHI法またはEIA法を用い、麻疹抗体が陰性と判定された学生(HI抗体価:8未満、IgG抗体価:4未満)に対してはワクチン接種を勧奨した。本研究では九州女子短期大学養護教育科に所属する学生の麻疹ウィルス抗体保有状況を把握するために質問票調査を行った。麻疹の既往や過去のワクチン接種に関しても同時に調査した。質問票の回収率は94.5%だった。解析の対象はウィルス抗体価を測定し、質問票に回答した九州女子短期大学養護教育科学生209人であり、そのうちHI抗体価測定者は70人、IgG抗体価測定者は139人いた。HI抗体価を測定した学生の約47.9%が8以上で陽性と判定されたのに対し、IgG抗体価測定者では、約77%が抗体価4以上で陽性あった。HI抗体価においてもIgG抗体価においても麻疹の既往は抗体保有に関連している傾向があった。幼児期の麻疹ワクチン接種は、麻疹の既往のない学生において、抗体保有との関連が認められなかった。一方、例数が少ないが、麻疹既往がある学生においては幼児期ワクチン接種者のほうが抗体価の維持ができていない可能性が示唆された。