- 著者
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岡田 三津子
岡 孝和
田中 くみ
渡口 あかり
原之薗 裕三枝
平島 ユイ子
大田 恵子
筒井 康子
角田 智恵美
岩田 仲生
- 出版者
- 九州女子大学・九州女子短期大学
- 雑誌
- 九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.2, pp.43-61, 2008
背景と目的:最近、児童生徒のうつ病の有病率の高さが注目されている。うつ病の治療法は確立されており、早期発見すれば治療できる。児童生徒のうつ病のケアのためには、早期発見早期治療システムの構築が必要であろう。養護教諭は学校におけるメンタルヘルスケアにおいて中心的な役割を果たすことが期待されている。しかし、養護教諭は医師との日頃からの連携がなければ、その達成は不可能である。そこで、連携の現状、連携推進の問題点について、小学校に勤務する養護教諭を対象にして質問票調査を行った。方法:福岡県Y市教育委員会の協力を得て、Y市の公立小学校に勤務する12養護教諭を対象にして、精神科専門医との連携についての自記式質問票調査を行った。質問票の内容は、(1)養護教諭が経験した児童の心の問題について(2)児童の心の問題の対処に関する現状について(3)精神科や心療内科の専門医との連携による児童のうつ病の早期発見についてであった。質問票の回収率は100%であった。結果:養護教諭が頻繁に経験した困難な児童の心の問題は、主として、不登校と不定愁訴だった。次に多かったのが、行為障害や反抗挑戦性障害等の学級経営を著しく妨害する行動だった。すべての養護教諭が学校単独では児童の心の問題をケアすることはできないと考えていた。しかし、小学校と心療内科や精神科専門医との連携はほとんどなく、半数以上の養護教諭が連携に困難を感じていた。また、うつ病の早期発見早期治療システムの構築については、良いことだとは認めるものの、実現可能と考えている養護教諭は少なかった。結論:養護教諭が頻繁に経験した困難な小学生の心の問題は小児のうつ病と密接な関係があるものだった。しかしながら、小学校と心療内科や精神科専門医との連携は乏しかった。協力して児童の心の問題をケアするためには、懇談会などを通じて、率直な意見の交換やお互いの立場の理解を深めることが大切であろう。