著者
小橋洋平 坂野 達郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.35, pp.71-76, 2007-03-29

本稿では、日本語学の分野において古くから指摘されてきた日本語文の階層構造について議論する。モダリティ論によると、日本語文は客観的な事柄を表す命題と心的態度を表すモダリティからなり、モダリティが命題を内包する構造を取る。この階層構造を解析することで、命題とそれに対する心的態度の情報を取り出すことが可能になると考えられる。我々は、階層構造の解析を、従来の係り受けを部分的に解析するものとして捉え、朝日・毎日・産経・読売新聞の社説記事を対象に、SVM に基づく既存の統計的な係り受け解析を行った。そして、階層構造と重要な関わりのあるモダリティと従属節の情報を素性に加えてその有効性について検証した。In this paper, we discuss the method to analyze Japanese hierarchical structure suggested by some researchers of Japanese Linguistics. According to the theory of modality, Japanese sentence consists of "proposition" that expresses objective thing and "modality" that expresses speaker's attitude, and modalities put proposition around. If we analyze the hierarchical structure, we can get the proposition and speaker's attitude toward it. In our study, we selected a general method for analyzing Japanese dependency structure based on Support Vector Machines for the analysis.