著者
日高 勇一 小池 貢史 三角 瞬 吉川 理紗 小西 祐子 佐藤 裕之 平井 卓哉 三堂 祥吾 堀井 洋一郎 都築 直 萩尾 光美
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.5-12, 2017-10-31 (Released:2017-11-15)
参考文献数
19

鼻腔内の未分化癌 (症例1)、移行癌 (症例2) と診断された犬2例に対し、パクリタキセル/白金製剤併用の非選択的動注化学療法を行った。それぞれの投与量は全身化学療法の推奨量の25%から35.5%に減量し、総頚動脈から注入した。症例1は著しい腫瘍の減容積が得られたが、治療後の生存期間は53日であった。症例2においても約3カ月間部分寛解が得られたが、治療後の生存期間は126日であった。本療法による副作用は、症例1ではみられず、症例2においても軽度であった。本報告における非選択的動注化学療法は、手技が容易かつ簡便であり、投薬量の減量により安全に実施し得た。本療法は、その間隔、回数および薬剤の投与量に課題が残るものの、犬の鼻腔内悪性腫瘍に対し、緩和効果が得られる可能性が示唆された。
著者
日高 勇一 小玉 彬人 田村 亮太 伊藤 誠文 小池 貢史 平井 卓哉 佐藤 裕之 萩尾 光美
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.6-11, 2014-07-05 (Released:2014-07-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

5歳、雌のミニチュア・ダックスフントが腹囲膨満および呼吸困難を主訴に来院した。身体検査、エックス線検査および超音波検査により腹腔内腫瘤と胸水の貯留が認められた。腫瘤と胸水の細胞診により、腫瘤は胸腔内転移を伴う卵巣由来の悪性腫瘍であることが示唆された。手術により腹腔内腫瘤は摘出され、病理組織学的に卵巣の乳頭状腺癌と診断された。術後、肺転移に伴う胸水の制御を目的にパクリタキセルと白金製剤併用の化学療法が合計9回行われ、手術から623日目に死亡した。剖検により肺は腫瘍組織に侵されていたことが確認された。パクリタキセルと白金製剤併用の化学療法は、犬の転移性卵巣癌症例に対する化学療法の選択肢の一つになりうるかもしれない。