著者
小沢 敬次郎
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.411-413, 1968-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
7

アシナガコシジロウミツバメ(Oceanites oceanicus)の日本近海の発見例は犬吠崎における1例(清棲,1932)があるのみであった。1967年7月,東京大学海洋研究所の本田座氏は同所淡青丸で三陸沖調査中1羽捕獲し,写真を撮り,これを著者に提示された。著者は帯黄色の蹼と〓蹠の長さから本種と同定した。また海鷹丸で著者は11月,鳥島の東50海里の海上で1例を得て測定し,南極大陸産の亜種Oceanites oceanicus exasperatusであろうとした。北太平洋における既知例は日本近海の1例,カリフォルニヤ沖の2例であったが,これらに2例を加えた。
著者
小沢 敬次郎
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1-2, pp.195-205, 1970-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
2

1968年4月2日から8日にわたり,東京水産大学練習船海鷹丸は東支那海中央部の北緯28°40'-30°15',東経125°-128°に囲まれた海域で行動中,鳥類の観察をおこなった。観察された鳥種はオオミズナギドリ,アカアシミズナギドリ,トウゾクカモメ,アカエリヒレアシシギおよびカモメ類5種の海鳥とツバメ,ハクセキレイ,キセキレイ,ミソサザイ,シロハラの5種の陸鳥であった。観察は日の出から日没の間,毎30分に見られる鳥種とその数を数え,目視観察野帖に記録した。総観察度数は150回であった。オオミズナギドリとアカエリヒレアシシギについて水塊に対する分布を考察し,前者は黒潮系温水域に,後者はむしろ黄海冷水域の外縁に多いとした。ツバメと天候,雲量との関連を求めたが明瞭な結果は得られず,ツバメの分布は黒潮流域にむしろ多く,渡りも黒潮流域に沿って行われるようである。
著者
小沢 敬次郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.2287-2322, 1967-08

(1)海上において鳥種を判定する場合それぞれの分布区域をあらかじめ知っていることは重要な要素となる.このため,南大西洋および南インド洋を含む南極洋で,11月から3月の時期に出現する主要鳥種について,分布の北限および南限を求め図示し,簡単な説明をこころみた.(2)本文において取り扱った鳥種はアホウドリ科6種,ミズナギドリ科13種,ウミツバメ科2種,モクリウミツバメ類,トウソクカモメ科2種,およびペンギン科4種,計27種である.(3)分布の北限および南限は,東京水産大学「海鷹丸」による3次にわたる航海,日本水産株式会社「第27興南丸」,「第20興南丸」(観察者,船長山田巽)による航海,その他の航海中の観察資料によって求めた.(4)各種についてカラー写真を掲げ,また,分布図に繁殖地,産卵時期を付記し,今後の海上における観察および分布の考察に便ならしめた.(5)量的分布,産卵時期に対する分布密度の移動などについては今後考察する