著者
小澤 史朗
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.46, pp.11-16, 2013-10-31

映像に指向性を持たせ,観察位置に応じた角度の被写体映像を表示することで,遠隔会議における人物の向きを表現できる多指向映像表現手法の研究開発に取り組んでいる.映像に指向性を持たせる手法としては,裸眼立体視ディスプレイやマルチビューディスプレイで取り組まれているが,解像度の低下や,輝度の低下あるいは視域の狭さなどが課題になっている.一方で,人物映像を表示については,被写体をモデル化することによって,自由な視点から人物映像を再現する手法が多く提案されているが,被写体人物の映像品質を保持したままでの表示を考えると,撮影した映像をそのまま表示できることが望ましい.本稿では,広い視域を確保する背面投射型のマルチビューディスプレイである"QDAスクリーン"を用いて,複数視点から撮影した人物映像を,一つのディスプレイに重畳表示し,見る位置に応じて映像を切り替えることができるシステムMulDiRoHを提案する.
著者
納富 幹人 小澤 史朗 全 炳東
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.872-879, 1998-05-25
参考文献数
12
被引用文献数
25

多様かつ広域にわたる実世界空間から情報を獲得するためには, 移動体観測による柔軟な観測機構が必須である.我々は, 車両・航空機などの移動体からの観測によって, 広域実世界情報を獲得する技術の開発を目指している.ここではその一環として, 車両からの画像観測による都市空間構築に関して報告する.都市空間モデルは, 都市工学, 交通工学, 教育, アミューズメントなどの広い分野で活用され得る重要な情報基盤であるが, その獲得にはばく大なコストが必要であり, 手入力に依存する部分が多く, 用途や対象物を限定せざるを得ないのが現状である.この研究では, 道路を走行する車両からの動画像解析による, 都市景観のモデル化手法を提案する.この手法は動きステレオによる奥行計測を基本とする.建築物などの対象物体は, 観測経路である道路からの奥行と表面模様(テクスチャ)によって表現され, 帯状の距離画像として構造化される.合成されたアニメーション画像に対する実験では, 奥行の誤差は4.4%から8.13%であった.また走行車両から得た実画像に対する実験も行い, この手法に対する評価を行った.