著者
小澤 壯行 平井 智絵 Lopez-Villalobos Nicolas 西谷 次郎
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.199-205, 2010-05-25
参考文献数
22

近年,山羊飼養の見直しと飼養熱の高まりがわが国において着実に定着しつつある.しかし,山羊産品の商品化には隘路が多く消費者の受容性が高い産品が早期に求められている.そこでメキシコで広範に嗜好されている山羊ミルクジャムであるCajeta(カヘタ)を開発試作し,これと市販の牛ミルクジャムを用いて10代から60代の男女計394名に対して官能試験,市販価格の推定および製品栄養成分分析を実施することにより,当該製品の受容性を明らかにするとともにその将来性について考察を加えた.この結果,山羊ミルクジャムは色調では牛ミルクジャムと比べて評価が高いものの,かおり,味および総合的評価などでは有意に評価が劣った.しかし被験者の7割以上が山羊ミルクジャムの総合評価に対して「普通」以上の評価を下していることからも,今後,山羊臭の改善などを行うことにより,商品化および市場参入が十分可能であることが示唆された.
著者
小澤 壯行
出版者
日本獣医畜産大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究においては、以下の8点を明らかにした。1.近年着実に山羊飼養の「復権的傾向」が見受けられること、さらに一村一品活動の成果として各種の山羊産品が生まれつつあること。2.消費者は山羊肉に対して「臭い」等の印象を抱いているが、「適当な価格で料理法が明示されているならば」購入してみたいとの意向が強いこと。3.しかし、都内沖縄料理店を対象とした調査では山羊肉料理は都市住民には好まれず、積極的な展開をする意志が無いこと。4.学生に対する山羊肉官能試験では、山羊肉の感受性は好評であり、モモ肉に比べてロース肉の嗜好性が優ったこと。また、消費の意向でも「また食べてみたい」と回答する者が過半を占め、市場性の存在が示唆されたこと。5.山羊飼養の先進地であるニュージーランドでは、肥育牛との複合経営部門として肉用山羊が位置づけられており、その収益性よりもむしろ雑草防除的な位置づけがなされていること。6.国産ザーネン去勢種とニュージーランド産ボア雑種のロース及びモモ肉部位の官能試験を行った結果、ロース肉間の嗜好性については品種間の有意差は認められなかったこと。またモモ肉間の嗜好性については「ジューシーさ」と「歯ごたえ」において有意にボア雑種がザーネン種を上回り高い評価を得たこと。7.山羊肉利用料理の官能試験実施による受容性の検討では、(1)肉じゃが、(2)ハヤシライス、(3)酢豚風を調理した。このうち山羊肉の調理法が一番合っているとして支持を集めた料理は酢豚風で全体の約半数を占め、次いでハヤシライス、肉じゃがの順となり、濃厚な味付けが適していること。8.山羊肉の販路開拓検討案の策定については、(1)山羊肉の栄養面的特徴、(2)山羊肉の呼称として「シェーブルミート」を提唱および(3)レシピカードの作成による消費訴求を提唱すること。