- 著者
-
小澤 桂子
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 奨励研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1996
まず、約1年以内に初回の退院をした血液疾患患者を対象に、退院指導についての質問紙調査を行った。退院後の生活等についての説明は、医師から、退院前3〜7日前に、病室で、時間を特にとって、一人で、言葉だけで、どんなことに注意しなければならないかについて説明を受けたと回答した者が最も多かった。それで良かったとの回答が多かったが、面談室で、家族と共に、パンフレットなど紙に書いたものを使って、を希望する意見が多くみられた。P<0.05で正の相関が見れたのは、生活上困ったことの解決の程度と説明が役だったか(相関係数0.737)であった。次に、(1)化学療法とはどのような治療方法であるのかを理解できる、(2)化学療法と自分の疾患の関係を理解し、納得して化学療法を受けることができる、(3)化学療法により起こりうる副作用、自分自身や生活への影響を知り、それらを最小限にするよう、対処方法を獲得できる、(4)得られた知識及び自分の入院中の体験の評価をもとに、退院後に起こる副作用や、自分自身や生活への影響を知り、起こりうる問題に対して効果的な対処方法を検討し、実施することができる、(5)継続した化学療法を行うことを受容できる、(6)自分自身が治療の主体として、疾患や治療とうまくつきあっていこうという意志・意欲を持つことができる、の6つを目標に、退院指導のための看護プログラム及び、パンフレットを作成した。6名の血液疾患患者(男性2名女性4名、平均年齢52.0歳)にプログラムを施行し、退院後1カ月後に質問紙により、プログラム、パンフレットともによくわかり、効果があったとの意見を得た。しかし、副作用などによる生活の困難は依然出現し、退院後の生活を困難にする大きな要因になっているため、この点を改善する方法を検討し、プログラムに取り入れる必要が示唆された。