著者
小澤 麻紀 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.418-423, 2002

アトピー性皮膚炎の患者20例を対象に, 黄色ブドウ球菌属等に対する抗菌作用を有するb-ツヤプリン (ヒノキチオール) 配合保湿クリーム (ヒノキAPクリーム) の有用性と安全性を検討した。ほとんどの症例で乾燥症状の改善を認めた。協力が得られた11症例についてはヒノキAPクリームと基剤のみの塗り分け試験を行い, 使用前後の角層機能と黄色ブドウ球菌数を測定した。角層機能は, どちらの側とも使用後に回復した。黄色ブドウ球菌数はヒノキAPクリーム使用側で減少する傾向がみられた。本試験品に起因する副作用は認められなかった。以上より, ヒノキAPクリームは保湿効果が高く安全性に優れ, 黄色ブドウ球菌が増悪因子のひとつであるとされるアトピー性皮膚炎の治療補助剤として有用であると考える。(皮膚の科学, 1: 418-423, 2002)
著者
小澤 麻紀 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.418-423, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

アトピー性皮膚炎の患者20例を対象に, 黄色ブドウ球菌属等に対する抗菌作用を有するb-ツヤプリン (ヒノキチオール) 配合保湿クリーム (ヒノキAPクリーム) の有用性と安全性を検討した。ほとんどの症例で乾燥症状の改善を認めた。協力が得られた11症例についてはヒノキAPクリームと基剤のみの塗り分け試験を行い, 使用前後の角層機能と黄色ブドウ球菌数を測定した。角層機能は, どちらの側とも使用後に回復した。黄色ブドウ球菌数はヒノキAPクリーム使用側で減少する傾向がみられた。本試験品に起因する副作用は認められなかった。以上より, ヒノキAPクリームは保湿効果が高く安全性に優れ, 黄色ブドウ球菌が増悪因子のひとつであるとされるアトピー性皮膚炎の治療補助剤として有用であると考える。(皮膚の科学, 1: 418-423, 2002)
著者
菊地 克子 小澤 麻紀 相場 節也 森田 栄伸
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.65-71, 2013

2009 年 11 月から 2010 年 5 月の間,東北大学病院および島根大学医学部附属病院を定期的に受診し外用ならびに内服治療によって症状が安定している 20 歳以上のアトピー性皮膚炎患者 40 例の顔面に対し,スキンケア指導とともにスキンケア剤を 8 週間使用した。担当医師は,試験開始時に患者に対し洗顔や保湿方法を指導し,スキンケア剤として乾燥性皮膚に対し開発された「ノブ <sup>®</sup> シリーズ」を使用させるとともに皮膚生理機能と QOL への影響を検討した。全例において 8 週間の継続使用ができた。1 例において塗布部位での紅斑と乾燥の軽度の悪化を認めたが,試験品との因果関係は不明であった。試験開始時および終了時に担当医師による皮膚所見を得て,さらに角層水分量,経表皮水分喪失量,皮表脂質量,テープストリッピングにより得た皮表角層細胞の細胞面積,角層中のセラミドおよびロリクリンなどを測定し,皮膚疾患特異的 QOL 尺度である Skindex-16 とともにそれぞれに有意な差を認めた。これらの結果から,医療治療によって症状が安定しているアトピー性皮膚炎患者に対し,適切なスキンケア (スキンケア指導およびスキンケア剤) が皮膚生理機能と QOL を改善することが明らかとなった。