著者
新山王 政和 小瀬木 崇
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教職キャリアセンター紀要 The journal of the Teaching Career Center (ISSN:24238929)
巻号頁・発行日
no.4, pp.113-121, 2019-03-31

一連の研究では、偶然性に依拠したり機器に頼って音符並べをしたりする「音楽づくり(創作)」ではなく、まず自らが表したいイメージを定め、そのイメージに向かってICレコーダーと鍵盤ハーモニカを用いながら音楽づくりを創意工夫する活動を模索している。そのうち南山大学附属小学校で試行した河田愛子教諭による研究授業は、愛知教育大学研究報告第68輯に於いて報告する。(1)そして本報告では春日井市立勝川小学校で試行した小瀬木崇教諭による研究授業について報告するが、注目したい点は「旋律をつくる→"合いの手"に合うように旋律を手直しする」という二段階で試行錯誤を深めさせたことである。研究授業の計画に先立ち、実践協力者には次の5つの条件を提示し、これを考慮してもらった。①音楽づくり(創作)の活動は、音楽の諸要素と曲想との関係を感じ取る鑑賞と組み合わせて行う。②ICレコーダーを用いて振り返ることで、思考を伴った試行錯誤を積み重ねながら音楽づくりを深める。③2人組のペア学習、さらにペア2組で聴き直しながら対話的な活動や学び合いを深めていく。④ICレコーダーの有用性と効果的な活用方法、教師による声掛けやアドバイスの効果を検証する。⑤児童自らが音を出す楽器を使用し、並べた音符をPCやタブレットに演奏させる方法は用いない。試行実践の結果、音楽づくりの活動に於いても、音楽の"よさ"に気付き自分なりの"解"を追究するためにICレコーダーが有効なツールになり得ることがわかった。しかしその効果は教師による働きかけを伴うことで発揮され、子供に持たせるだけでは十分な効果を得られないことも確認した。