著者
小片 真弓 山田 弘生 深田 哲夫 代田 稔
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.427-432, 1977

1. 有機物を炭素源として大量培養したクロレラを蚕の人工飼料の成分として用いる可能性を検討するために先ず蟻蚕の摂食行動に対する影響をしらべた。<br>2. 寒天ゲル10mlに桑葉粉末1.2gを含ませた飼料を基本とし, この桑葉粉末の一部をクロレラでおきかえたものに蟻蚕を掃立て24時間後の排糞数を求めた。対照区としてクロレラのかわりに同重量のセルロース粉末を含むものを用いた。<br>3. クロレラを含む飼料に対する排糞数はセルロース粉末を含んだものよりも常に少なく, クロレラには蟻蚕の摂食に対する阻害因子の存在することが推定された。<br>4. クロレラ中の摂食阻害因子はクロレラをメタノール抽出することによって一部とりのぞけること及びクロレラの蛋白質区分を用いれば阻害効果が少ないことが判った。<br>5. 実用蚕品種の間にクロレラ中の摂食阻害因子に対する感受性の差のあることが判った。<br>6. 桑葉粉末50%+クロレラ50%の人工飼料に対する蟻蚕の摂食は在来の大豆配合飼料の場合にくらべておとらないことがわかった。これはクロレラを人工飼料の蛋白源として使用する可能性を示している。
著者
山田 弘生 小片 真弓 深田 哲夫 高橋 利〓 代田 稔
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.490-500, 1978

1. クロレラと桑葉粉末を各々50%配合した人工飼料を調製し, 蚕の全齢飼育を試みて在来の大豆配合人工飼料に劣らない成績を得た。<br>2. 本クロレラ配合飼料をミルクカゼイン配合人工飼料と比較することにより, クロレラには蛋白質及び炭水化物以外に蚕の生育に有効な因子のある事が推定された。<br>3. 蚕の飼育経過, 繭質及び収繭率に於いて, 良好な成績を与えるクロレラの配合率は40~70%である事が判った。<br>4. クロレラ配合人工飼料で蚕を飼育する場合, 飼育温度は28~30℃が最適である事が判った。<br>5. 壮蚕期には本飼料中の桑葉粉末を25%にまで減量し, その分をミルクカゼイン・スターチ・セルロース混合物または脱脂大豆で補っても良い事が判った。<br>6. 50%クロレラ配合人工飼料で1,100頭の蚕を全齢飼育してみたところ, 生糸量歩合14.61%の3等格に相当する繭が対掃立89%得られた。また14,000頭の全齢育でもほぼ同様の成績であった。<br>7. 春蚕期に20,000頭の蚕を1~3齢クロレラ配合人工飼料育し, その後農家で4~5齢桑葉育を行ったところ, 全齢桑葉育に近い成績を得た。