著者
山田 弘生 小片 真弓 深田 哲夫 高橋 利〓 代田 稔
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.490-500, 1978

1. クロレラと桑葉粉末を各々50%配合した人工飼料を調製し, 蚕の全齢飼育を試みて在来の大豆配合人工飼料に劣らない成績を得た。<br>2. 本クロレラ配合飼料をミルクカゼイン配合人工飼料と比較することにより, クロレラには蛋白質及び炭水化物以外に蚕の生育に有効な因子のある事が推定された。<br>3. 蚕の飼育経過, 繭質及び収繭率に於いて, 良好な成績を与えるクロレラの配合率は40~70%である事が判った。<br>4. クロレラ配合人工飼料で蚕を飼育する場合, 飼育温度は28~30℃が最適である事が判った。<br>5. 壮蚕期には本飼料中の桑葉粉末を25%にまで減量し, その分をミルクカゼイン・スターチ・セルロース混合物または脱脂大豆で補っても良い事が判った。<br>6. 50%クロレラ配合人工飼料で1,100頭の蚕を全齢飼育してみたところ, 生糸量歩合14.61%の3等格に相当する繭が対掃立89%得られた。また14,000頭の全齢育でもほぼ同様の成績であった。<br>7. 春蚕期に20,000頭の蚕を1~3齢クロレラ配合人工飼料育し, その後農家で4~5齢桑葉育を行ったところ, 全齢桑葉育に近い成績を得た。