著者
黒田 純子 林 雅晴 川野 仁 小牟田 縁
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

子どもの脳の発達障害の一因として、環境化学物質の影響が懸念されている。本研究では、リスク評価が不十分な農薬ネオニコチノイドの低用量長期曝露の影響を、発達期のラット小脳神経細胞培養を用い、遺伝子発現の変化から発達神経毒性を調べた。ニコチン、ネオニコチノイド2種を低濃度で2週間曝露した小脳培養のmRNAをDNAマイクロアレイで解析し統計処理した結果、複数の遺伝子で1.5倍以上の有意な発現変動を確認した。3種の処理で共通に変動した遺伝子には、シナプス形成に重要なカルシウムチャネルやG蛋白質共役受容体などが含まれており、ネオニコチノイドはニコチン同様に子どもの脳発達に悪影響を及ぼす可能性が確認された。