著者
寺島 正二郎 佐藤 栄一 小竹 和夫 植木 一範 佐々木 聡
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.87-98, 2010 (Released:2017-02-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

本研究開発では頸髄損傷者や筋ジストロフィーなどの重度障害者のための操作・支援装置として, 残される随意機能の1つである舌の動作に着目して, 舌運動で操作可能なマウスピース型の操作装置の開発を行っている. 本稿では, 開発した口腔内リモートコントローラーの仕様を説明すると共に, その性能および操作性について評価を行った.  その結果, RFタグを用いることにより内蔵電源が不要なリモートコントローラーの開発に成功し, その通信特性として安定的な最大通信距離は大気中, 水中, 肉塊内共に110mm以上と良好な値を示した. また, 実利用時の通信特性を評価したところ, 頬脇にアンテナを設置した場合, 設計仕様を満たす十分な通信特性が得られており操作性も良好であった. さらに, 市販の電動車椅子を運転操作した結果, 安定した走行が可能であり, これらの結果から本システムの有効性と実利用の可能性を認めた.