著者
北後 寿 貫井 光男 小竿 真一郎 加村 隆志 宮坂 修吉 竹内 淳彦
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

平成7〜9年度に実施した調査研究内容につき,構造・材料・計画・環境・工業地理の各側面から列記し,研究成果の概要を述べる。1.構造は,建築物の構造種別分布状況について現地調査を実施した。結果より,沖縄地方における建築物の構造および施工の特徴を明らかにした。さらにアンケート調査結果より,沖縄地方の設計関係者による建築物の構造計画,施工方法などの考え方を明らかにした。2.材料は、製造関係の調査結果を基に,沖縄県の空洞ブロック造の歴史的変遷(ブロック製造・使用時期,施工方法,ブロック造の変遷)について,また実態調査結果より,琉球セメント・拓南製鐵・本部町の砕石製造業の現状を明らかにした。3.計画は,沖縄本島における地理的環境が及ぼす建物形態を6タイプに分類し,その違いを明らかにした。住宅におけるコミュニティーのアメニティーの調査については,この地方の住宅は台風,雨,火災等については災害の心配が殆どなくなっており,その他のアメニティーも著しく向上していることを明らかにした。4.環境は,沖縄の南部,中部,北部地域10住宅で室内浮遊真菌と付着真菌の調査を実施した。このエリアは高温多湿の特徴を有している。結果として,真菌同定と濃度の両面で東京エリアとの差違が認められた。5.工業地理は,コンクリートブロック製造業の存在形態,市場構造,コンクリートブロック・コンクリート系住宅の建築体系について調査を行った。その結果,沖縄地方における住宅建築に関わる建築材の生産と分配,市場構造,コンクリート系住宅建築の地域的体系等の社会・経済的特質を明らかにした。