著者
岡田 隆 池田 未里 小菅 亨 松本 揚 石井 孝法 野田 哲由
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.9, pp.33-41, 2015

背景ボディビル競技では体脂肪を最大限減少させ(除脂肪),除脂肪体重の多くを占める骨格筋が最も多い状態を作る(筋肥大)事が重要である.しかしその方法については不明な点が多い.目的ボディビルダーにおける試合までの長期調整(減量)期間における体重,身体組成の経時的変化を明らかにし,除脂肪,筋肥大の最適な方法を確立する事を目的とした.方法男子大学生ボディビルダー5名を対象とした.6ヶ月間1回/月,体重を測定し,インピーダンス法で体脂肪率,除脂肪体重,体脂肪量,体水分量を推定した.結果除脂肪体重以外の全ての項目は有意に減少した.体脂肪量の減少率は36.3±7.6%(-4.2±1.3kg)であり,除脂肪体重の2.7±1.2%(-1.8±1.0kg)と比較して有意に高かった.結論骨格筋を肥大させる目的を持ったボディビルダーの調整方法であれば除脂肪体重の減少を抑える事ができ,また体脂肪量の減少率が大きいため身体組成を著しく改善する事がわかった.レジスタンストレーニングには体重減少中の除脂肪体重損失を抑制する可能性ある事が示唆された.
著者
小菅 亨 岡田 隆 増田 敦子 石井 孝法 山田 利彦 金丸 雄介 菅波 盛雄
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.9, pp.183-191, 2015

柔道の競技力強化の現場で行われている「ロープトレーニング」とは上肢と体幹を主に用いて局所筋持久力と全身持久力の向上を目的に行われるものである.この方法が柔道競技において普及しているのは柔道には上肢と体幹を多く用いるという競技特性があるためである.本研究ではロープトレーニングの生理学的反応を明らかにし,ロープトレーニングのトレーニング効果に関する知見を得ることを目的とした.大学男子柔道部員10名を対象とし,ロープトレーニングをTabata protocolに模倣したロープトレーニングで行わせた.測定項目は酸素摂取量,血中乳酸濃度,心拍数とした.また,自転車ペダリング運動によって測定される仮定最大値(VO2max ,Lamax, HRmax)との相対値を算出した.結果はVO2max に対してロープトレーニング中のpeakVO2は有意に低く,Lamax に対し,ロープトレーニング中のpeakLaは有意に高かった.peakHRはロープトレーニング中ほぼHRmaxに近い値で推移し,有意差はなかった.上記によりロープトレーニングは解糖系に最大の負荷をかけるが,酸化機構には最大の半分程度の負荷しかけることができないということになる.これは,上肢などの局所筋における解糖系に大きな負荷がかかることで酸化機構への負荷が十分に高まる前にオールアウトしたことが原因であると考えられる.今後は,ロープトレーニングで負荷をかけることができなかった酸化機構に最大負荷をかけることができるプロトコルを探索していくことが課題の1つである.