著者
杉森 義一 正木 俊一郎 小西 喬郎 林 幸之
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.309-317, 1990-07-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
21

鶏の敗血症大腸菌症より分離した大腸菌(O2型)を用いて4種類の不活化抗原液(BF:約109CFU/ml含む培養菌液,BFS:BF液を超音波処理した菌液,CF:BF液を遠心によって,約1010CFU/mlに濃縮した菌液,CFS:CF液を超音波処理した菌液)を調整した。これら抗原液を1日齢ヒナにクロアカ接種法(pa法)で免疫,その後20日目にホモ株の致死量を静脈内攻撃し,攻撃後7日後の生存率で評価した。抗原液の内,超音波処理を施したBFSとCFS液で攻撃による生存率が統計的に有意であったが,含有菌量が約10倍量多いCFS液の方が強かった(P<0.01)。一方,超音波処理を施していないBF液とCF液では,生存率の改善傾向は見られたが,その効果は有意ではなかった。超音波処理は,15分間(5分間を3回)で最も強い免疫効果が得られた。その効果はKetodeox-yoctonate (KDO)値や抗体結合性などに相関性が認められ,in vitroでの重要な指標となった。CFS液をpa,筋肉内あるいは皮下接種法で接種した時の免疫性と安全性を調査したところ,免疫効果はpa法(P<0.01)と筋肉内接種法(P<0.05)で認められた。安全性は筋肉内や皮下接種法では接種後の体重増加が有意(P<0.01)に低下したが,pa法ではこのような現象は観察されなかった。CFS液のpa法による免疫効果は接種7日目以降27日間にわたると推察されたが,O抗原型が異なるO78型の攻撃に対して,効果を認めなかった。