著者
小西 良昌 吉田 精作
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.375-380, 1987

有機リン農薬のマラチオンとフェニトロチオンの1日摂取量について; 30歳代の女性6名の1週間の全食事陰膳法により採取し測定した。マラチオンの検出率は26.2%, 1日摂取量は最大値7.72μg, 平均値0.88μgであった。フェニトロチオンの検出率は21.4%, 1日摂取量は最大値3.89μg, 平均値0.47μgであった。<BR>小学校給食からのマラチオンとフェニトロチオンの摂取量を23日間にわたって測定した。マラチオンの検出率は73.9%, 摂取量は最大値3.58μg, 平均値1.11μgであった。フェニトロチオンの検出率は47.8%, 摂取量は最大値2.92μg, 平均値0.51μgであった。<BR>マラチオンとフェニトロチオンの汚染源は, 小麦粉であり, 陰膳においてマラチオン, フェニトロチオン摂取量の多い日には, お好み焼き, うどん, マカロニグラタン, フライ, 天ぶら等小麦粉を多く喫食していた。小学校給食において, パン食の日からはつねにマラチオン, フェニトロチオンが検出されたのに対し, 米飯食8回のうち6回はどちらも検出されなかった。また, マラチオン, フェニトロチオンの高かった日にはパンの他にも小麦製品を喫食していた。<BR>玄小麦, 小麦粉, 小麦製品について実態調査を行ったところ, 輸入 (アフリカ産) 玄小麦4検体からは, マラチオンとフェニトロチオンの両方が検出された。小麦粉をはじめ, 麺類, ビスケット等の小麦製品にも汚染がおよんでいることがわかった。