著者
小谷 優平 種村 純
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.427-432, 2021-12-31 (Released:2022-07-04)
参考文献数
8

認知機能良好で失語症者向け通所サービス (以下, 失語症デイ) を初めて利用した単一失語症例を対象として失語症デイの短期的有効性を検討することを目的とした。研究デザインは単一症例実験的研究, ベースライン期, 介入期, 介入除去期の A-B-Aʼ デザインとした。アウトカム指標は Communicative Confidence Rating Scale for Aphasia と Life Stage Aphasia QOL Scale-11, 言語機能, 実用的コミュニケーション能力, 社会参加の指標であった。検討の結果, ベースライン期に比べて介入期に心理社会的側面の有意な成績の改善, 実用的コミュニケーション能力の明確な改善が示された。しかしながら, 全体的に介入期に比べて介入除去期に成績低下が認められた。追研究の余地があるが, 失語症デイの心理社会的側面, 実用的コミュニケーション能力への有効性について予備資料を得ることができた。