- 著者
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小貫 泰志
武田 秀和
大枝 泰彰
北川 淳
丸山 剛生
中原 凱文
- 出版者
- 日本生理人類学会
- 雑誌
- 日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.3, pp.109-114, 2004-08-25 (Released:2017-07-28)
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
-
1
我が国の65歳以上人口は2003年9月時点で総人口の19%であり,2015年には26.0%にのぼると予測されている.この高齢者人口の増加の影響は平均寿命の長命化の影響を受け,日常生活動作(Activity of daily living:ADL)水準の低い要介護度4や5などの,重度な介護を必要とする被介護者や,寝たきりの被介護者の増加につながると思われる.また,現在の高齢障害者の介護形態は,在宅療養の充実を目的とした事業展開を推進し,施設介護から在宅介護に移行していく方向にあるが,実際は,要介護度4,5の被介護者の半数以上が介護老人保健施設や特別養護老人ホーム等で介護を受けている状況である.さらに,家族による在宅介護能力を人口比率から見ると,65歳〜84歳の高齢者1人当りの成人介護適齢期女性(娘や嫁)の人口比率は,少子高齢化のために,1990年の1.298人から2005年には世界最低水準の0.77人,2015には0.588人と半減する.そのため,重度な介護を必要とする被介護者は在宅介護では限界をきたし,介護施設への入居が圧倒的に多くなることが予想できる.