著者
小野 貞文 小池 加保児 谷田 達男 久保 裕司 芦野 有悟 千田 雅之 鈴木 聡 磯上 勝彦 那須 元一 斎藤 秀行 相良 勇三 佐久間 勉 仲田 祐
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.910-916, 1989-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

ヒトの肺循環系に於ける血小板活性化因子 (PAF) の果たす役割, 及び, その作用の発現に於ける血管内皮, cyclooxygenase 系の関与を明らかとすることを目的とし, 摘出ヒト肺動脈を用いて検討した. 内皮傷害の肺動脈では, 10-6MのPAFにて, 緩徐で弱い収縮作用が認められた例があったが, 他の肺動脈では, 内皮非傷害, 内皮傷害のもの共に収縮あるいは弛緩は認められなかった. 10-7MのPAF前投与により, 肺血管収縮物質である Histamine, Prostaglandin F2αの収縮は抑制された. この抑制作用は内皮依存性であり, cyclooxygenase 系は関与しなかった. ヒトにおいて, PAFは, 内皮細胞由来の血管弛緩物質 (EDRF) を介して作用を発現する可能性が示唆された.