著者
小野原 健一 吉多 仁子 田澤 友美 松下 茜 河原 邦光 橋本 章司
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.483-488, 2015-07-25 (Released:2015-09-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2

【目的】TRCReady MTB/MAC(TRC法)は転写-逆転写協奏反応(transcription reserve transcription concerted reaction; TRC反応)を原理とし,自動で核酸の精製,増幅,検出を行う新しい抗酸菌検出法である。結核菌およびMAC検出におけるTRC法と,当院で実施しているコバスTaqMan MTB/MAI(PCR法)を比較検討した。【期間・対象・方法】2012年11月から2013年7月までにPCR法による結核菌同定依頼があった135検体(培養陽性49,陰性86),MAC同定依頼があった107検体(培養陽性64,陰性43)を対象としてTRC法とPCR法を施行し,培養結果との相関および測定時間を比較した。【結果】結核菌検出で培養との一致率は,TRC法95%(感度90%,特異度98%),PCR法94%(感度88%,特異度98%),MAC検出での一致率は,TRC法96%(感度97%,特異度95%),PCR法97%(感度98%,特異度95%)であった。NALC-NaOH処理後の検体から測定結果が出るまでに要した時間は,TRC法約50分,PCR法約210分であった。【まとめ】自動化されたTRC法はPCR法と同等の検出性能を有し,簡便に短時間で結果が得られる結核および肺MAC症の迅速診断に有用な検査法であると考えられた。