- 著者
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加藤 一郎
小金沢 鋼一
高西 淳夫
- 出版者
- The Robotics Society of Japan
- 雑誌
- 日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.2, pp.102-108, 1987-04-15 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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乳ガン自動触診ロボット: WAPRO-4が製作された.WAPRO-4は手による触診を自動化する目的で構築され, 乳ガンの早期発見に資することを目的としている.WAPRO-4は測定装置, 移動装置, マイクロコンピュータ・システムの3つの部分より構成される.測定装置には4本の触子があり自重により, それぞれ独立して乳房を押す.その際の押し込み距離を差動トランスにより測定する.工業用汎用ロボット (Pana Robo A6256C, 松下電器産業株式会社) が移動装置として導入され, 測定装置を測定点に移動する.マイクロコンピュータシステム (PC-9801 E, 日本電気株式会社) が移動装置を制御し, 自動触診中, 測定装置よりデータを採取し, 診断処理をおこなう.呼吸や胸壁の影響を受けず腫瘍のみが識別できるソフトウェアアルゴリズムを構築した.医師の立ち会いのもとに臨床試験をおこなった.16名中15名の患者の腫瘍が識別された.1名の患者については腫瘍の大きさが小さいために明瞭な識別ができなかった.これらの結果は明らかにWAPRO-4システムの有効性を示しており, 自動触診システムによる乳ガンの集団検診の可能性を示している.しかしながら, より小さな腫瘍の識別を可能とするシステムの開発をおこなう必要がある.