著者
小関 祐之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p><b>1.はじめに</b></p><p></p><p> 高大接続改革は,高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の三位一体の改革である.大学入学者選抜改革の一環として,大学入試センターではセンター試験から大学入学共通テスト(以下共通テスト)へと変更された.新高等学校学習指導要解説では,これからの学校教育では,子どもたちが様々な変化に積極的に向き合い,他者と共同して課題を解決していくことや,様々な情報を見極め,知識の概念的な理解を実現し,情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと,複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることなどが求められている.共通テストにおいても同様の方向性で問題が作成されている.</p><p></p><p><b>2.高大接続改革を意識した大学入学共通テストの方向性</b></p><p></p><p> 令和4年度共通テストの問題作成方針では,①センター試験における問題評価・改善の蓄積を生かしつつ,共通テストで問いたい力を明確にした問題作成,②高等学校教育の成果として身に付けた,大学教育の基礎力となる知識・技能や思考力,判断力,表現力等を問う問題作成,③「どのように学ぶか」を踏まえた問題の場面設定の3点が示されている.また,地理A・Bの問題作成方針には「地理にかかわる事象を多面的・多角的に考察する過程を重視する.地理的な見方や考え方を働かせて,地理にかかわる事象の意味や意義,特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり,地理的な諸課題の解決に向けて構想したりする力を求める.問題の作成に当たっては,思考の過程に重きを置きながら,地域を様々なスケールから捉える問題や,地理的な諸事象に対して知識を基に推論したり,資料を基に検証したりする問題,系統地理と地誌の両分野を関連付けた問題などを含めて検討する」と示されている.これらの方針に沿って共通テストは作成されている.</p><p></p><p><b>3.センター試験と共通テストにおけるデータ比較</b></p><p></p><p> 令和2年度センター試験と令和3年度共通テストの地理Bについてデータを基に大まかに比較してみたい.共通テストは,大問数が1減じられている.その大問は比較地誌の大問である.また,センター試験と共通テストともに多くの資料が活用されている.しかし,細かく分析すると,小問数が共通テストでは5問削減されているのにもかかわらず,総資料数は37,38とほぼ同数である.センター試験では資料を用いない問題が5問出題されていたが,共通テストでは,資料を用いない問題は出題されていないだけでなく,複数の資料を読み取り傾向性や規則性を問う問題が出題されている.当日の発表では,これらの分析とともに,令和3年度共通テストを数問取り上げ,高大接続改革を意識した問題はどのような問題か,思考力等を発揮して解く問題とはどのような問題か,受験者に身に付けてほしい資質・能力や高校現場に求めたい授業の実践等について,大学入試センター試験の過去問題と比較しながら報告したい.</p><p></p><p><b>文献</b></p><p></p><p>文部科学省(2018)高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説・地理歴史編.東洋館出版社</p><p></p><p>大学入試センター(2011)令和4 年度 大学入学者選抜に係る 大学入学共通テスト問題作成方針</p><p></p><p>https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r4.html</p>