著者
小関 芳宏 大内 利昭 神崎 仁
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.186-192, 1990-04-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

聴力正常な成人6名12耳を対象として自発耳音響放射 (s-OAE) と誘発耳音響放射 (e-OAE) のFFT解析を行い, 両者の関係について検討を行った。 s-OAEは4耳に認められ, その周波数は, e-OAEが最も明瞭に記録できる周波数とほぼ一致していた。 また, この4耳では持続性e-OAEを示した。 等刺激音圧下e-OAE音圧曲線, 予想及び実測e-OAEパワースペクトラム, e-OAEのFFT解析の結果から, e-OAE記録時には, s-OAEの周波数においてe-OAEが出現し易い傾向が認められた。 無刺激音時におけるs-OAEの時間軸の平均加算記録結果からは, 本e-OAE記録系におけるs-OAEのsynchronizationは無いと考えられた。 また, 刺激音の位相を変化させた場合には, s-OAEの周波数おけるe-OAEは, 刺激音の位相に対応して出現していた。 以上より, s-OAEが認められる耳では, 刺激音がトリガーとなり刺激音とs-OAEのsynchronizationが起き, 持続性e-OAEとして記録されると推測された。
著者
伊藤 まり 相馬 啓子 小関 芳宏 池上 奈歩
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.186-189, 2010 (Released:2011-11-30)
参考文献数
14

他覚的耳鳴は身体内部に耳鳴となる明らかな音源がある場合で、他覚的耳鳴は筋性耳鳴、血管性(拍動性)耳鳴、その他に分けられる。血管性(拍動性)耳鳴は脈拍と一致しており、原因疾患として局所疾患と全身疾患に分けられ、全身疾患による拍動性耳鳴は循環動態の変化と関係があり、貧血や甲状腺機能亢進、beri-beri(ビタミンB1欠乏症)、褐色細胞腫、妊娠が挙げられる。全身疾患による拍動性耳鳴が他覚的に聴取されることは極めて稀である。今回、我々は子宮筋腫に伴う不正出血、貧血により、左他覚的拍動性耳鳴を引き起こし、子宮筋腫摘出術後、貧血の改善に伴い耳鳴が改善した症例を経験し、その耳鳴音を記録、解析し得たので報告する。