著者
伊藤 まり 相馬 啓子 小関 芳宏 池上 奈歩
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.186-189, 2010 (Released:2011-11-30)
参考文献数
14

他覚的耳鳴は身体内部に耳鳴となる明らかな音源がある場合で、他覚的耳鳴は筋性耳鳴、血管性(拍動性)耳鳴、その他に分けられる。血管性(拍動性)耳鳴は脈拍と一致しており、原因疾患として局所疾患と全身疾患に分けられ、全身疾患による拍動性耳鳴は循環動態の変化と関係があり、貧血や甲状腺機能亢進、beri-beri(ビタミンB1欠乏症)、褐色細胞腫、妊娠が挙げられる。全身疾患による拍動性耳鳴が他覚的に聴取されることは極めて稀である。今回、我々は子宮筋腫に伴う不正出血、貧血により、左他覚的拍動性耳鳴を引き起こし、子宮筋腫摘出術後、貧血の改善に伴い耳鳴が改善した症例を経験し、その耳鳴音を記録、解析し得たので報告する。