著者
尾上 洋一 村上 巧啓 高柳 幹 岩谷 雅子 萱原 昌子 足立 陽子 松野 正知 足立 雄一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1207-1215, 1995
被引用文献数
6

6〜16歳の気管支喘息児51名において4種のゴキブリ特異IgE抗体をRASTおよびCAP-RASTにて測定した. ゴキブリ特異IgE抗体陽性率はRASTでクロゴキブリ17.6%, チャバネゴキブリ29.4%, ワモンゴキブリ19.6%, ヤマトゴキブリ15.7%であり, CAP-RASTではクロゴキブリ, チヤバネゴキプリとも15.7%であった. また, この4種のゴキブリRASTを陰性と陽性に分けて検討すると相関関係が認められた. クロゴキブリおよびチャバネゴキプリ虫体と糞のRASTは相関関係を認め, 2名のゴキブリ陽性患児血清を用いた. immunoblot法では虫体と糞に共通の感作抗原分画を認めた. ゴキブリ抗原吸入誘発試験では既時型の気道反応を示し, RAST抑制試験ではゴキブリ抗原によりダニRASTは抑制されなかった. 以上より小児気管支喘息においてゴキブリはダニとは異なる吸入性アレルゲンとして注目すべきと考えらられた.