著者
伊藤 靖典 足立 陽子 淵澤 竜也 板澤 寿子 足立 雄一 村上 巧啓 宮脇 利男
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.160-165, 2006

喘息治療において有効な治療手段のひとつである吸入療法には, 種々のデバイスが利用されている. 今回, β<sub>2</sub>刺激薬吸入のために導入された定量ドライパウダー式吸入器, クリックヘラーが小児においても使用可能であるかを検討した. 対象は, 定期フォロー中の喘息児91名 (5~8歳, 非発作状態), および小発作または中発作状態の喘息児33名 (4~10歳) で, 吸気動作を指導した後にインチェックを用いて最大吸気流速値 (PIFR) を測定した. 非発作状態では, 5歳で89.7% (26/29), 6歳で95.2% (20/21), 7歳で100% (14/14), 8歳で100% (27/27) の児で正しい吸気動作が行えた. 正しい吸気動作が行えた87名と発作状態の33名では, 肺内への十分な薬物沈着に必要なPIFR (20L/min) が得られた. 以上より, クリックヘラーを用いた吸入療法は, 年少児であっても吸気動作が正しく行える児であれば実施可能であると考えられる.
著者
中桐 昭 早乙女 梢 足立 陽子 杉本 直人 畑 秀和
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

淡水域および汽水域の低酸素環境に適応した真菌類の取得を目指し、2段階低酸素分離法や低酸素釣菌法で菌を分離し、培養性状を調べた結果、分離株の多くは高酸素菌(好気性菌)であったが、少数ながら、低酸素菌や中酸素菌(微好気菌)も分離できた。さらに、嫌気~微好気~好気の各条件で生育が変わらない広範囲菌が分離され、これらは低酸素環境に適応して生息できる菌類と考えられた。水生菌類では、淡水域からはSigmoidea sp.、汽水域からはLulwoana spp.などが高または高~中酸素菌として見いだされた。これらは未記載種と考えられ、新たな低酸素分離法により、未知の菌が取得できた可能性がある。
著者
足立 雄一 五十嵐 隆夫 吉住 昭 萱原 昌子 足立 陽子 松野 正知 村上 巧啓 岡田 敏夫
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.40-45, 1991
被引用文献数
2

4例の食物依存性運動誘発性アナフィラキシーを経験した. それぞれの臨床症状について検討し, さらに全員に運動負荷を行い, その前後でCom48/80を用いた皮膚テストを実施した. 症例は男児1名, 女児3名. 13-16歳に発症し, 誘因はエビなどの甲殼類が2名, 小麦およびポテトが1名, 小麦が1名であった. いずれもRASTにて特異的IgE抗体を証明し得た. 運動はランニング, バレーボール, 早足歩行であり, 食後10分から2時間に運動することで発症している. 全員に蕁麻疹を認め, それ以外に意識消失や呼吸困難を認めた. 運動負荷のみでは全員無症状であったが, Com48/80に対する皮膚反応は3例において運動前に比して運動後に増大傾向を認めた. 以上より, 本疾患の発生機序としてアレルギー反応の関与が示唆されたが, 運動による皮膚肥満細胞の活性化の可能性については今後の課題である.
著者
足立 陽子 長 正則 田中 聡(MD) 三箇島 吉統(MD)
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.45, 2010 (Released:2010-10-12)

【はじめに】Pilon骨折は、軟部組織や足関節可動域に問題が多い骨折として知られ最も重度なRuediの分類タイプIII(脛骨遠位の圧迫と粉砕骨折を伴う)では、足関節拘縮を来たす等治療成績が不良という報告が多い。今回、本骨折の術後理学療法を行い比較的良好な可動域を得たので報告する。【症例紹介】54歳、男性、職業:足場設営。コンテナ(3m)から落下し受傷、当院受診。左Pilon骨折(Ruediの分類タイプIII)・踵骨骨折と診断され、観血的整復固定術及び腸骨骨移植を施行。踵骨骨折、内果骨折部は保存的に加療。術後24日目、退院。術後108日目、全荷重開始。術後138日目、仕事復帰。尚、本症例には症例報告させていただく主旨を説明し同意を得た。 【理学療法経過】理学療法は、術後1日目より左下肢免荷両松葉杖歩行訓練、筋力強化訓練、RICEを開始。術後7日目よりリンパドレナージ、動的関節制動訓練を開始。術後30日目、足関節可動域訓練、過流浴療法を開始。 【初期評価:術後30日】足関節可動域は、患側背屈-5°/底屈30°、健側背屈10°/底屈50°。疼痛は、距腿関節前面及びアキレス腱部の伸張痛。Burwellの判定基準はX線学的評価基準:良、客観的基準:不可、主観的基準:不可。【最終評価:術後318日】足関節可動域は、患側背屈10° /底屈45°、健側背屈10°/底屈50°。疼痛は、起床時の歩き始めと階段降時のアキレス腱部痛。Burwellの判定基準はX線学的評価基準:良、客観的基準:良、主観的基準:良。【考察】Pilon骨折は、脛骨遠位部の栄養血管が中枢側よりに入っている為、血行不全になりやすく周辺軟部組織の浮腫による足関節拘縮を来たしやすい。本骨折の治療原則は、手術による解剖学的整復・強固な内固定・早期関節運動・長期免荷であり、本症例においても同様に治療した。本症例は関節内粉砕骨折の整復に時間がかかり内果部骨折は保存療法となり、術後30日間足関節固定対応を要した。軟部組織変性による拘縮を予防する為、拘縮促進因子である浮腫・疼痛・栄養障害の早急な改善が必要と考え、固定期間中からリンパドレナージ・筋力強化訓練・RICE・動的関節制動訓練を実施した。可動域訓練開始時より、水治温熱療法後のストレッチと運動学に基づく他動的可動域訓練を実施した。また、ホームエクササイズとしてストレッチ及び可動域訓練を指導した。以上の様に疾患の特徴と術後の病期に応じたアプローチを選択し実施する事で、軟部組織の変性による弾性低下・骨格筋の短縮・疼痛を改善させ比較的良好な可動域改善につながったと考えられた。
著者
足立 陽子 角熊 俊也 鏡 亮吾 西尾 晃 赤坂 浩司 常峰 紘子 小高 泰一 平松 靖史 多田 寛
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.315-319, 2010

抗真菌薬&ldquo;イトラコナゾール内用液&rdquo;は,造血器悪性腫瘍患者に対して真菌感染症予防を目的に投与されるなど,その有用性が知られている。一方で,同薬には固有の苦味があり,服薬困難となってアドヒアランス低下につながるケースが散見されていた。そこで,今回われわれは,同薬をオレンジジュースと一緒に服薬する方法(オレンジジュース群)を考案し,薬剤吸収(血中濃度)および飲みやすさ(5段階味覚評価)への影響を検討した。その結果,水で服薬した場合(対照群)と比べて,オレンジジュース群の血中濃度に差異は無く,飲みやすさで改善が認められた。本法は臨床現場で簡便かつ安全に実施でき,服薬アドヒアランスの向上に期待できるものと考えられた。
著者
足立 陽子 角熊 俊也 鏡 亮吾 西尾 晃 赤坂 浩司 常峰 紘子 小高 泰一 平松 靖史 多田 寛
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.315-319, 2010 (Released:2010-06-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1

抗真菌薬“イトラコナゾール内用液”は,造血器悪性腫瘍患者に対して真菌感染症予防を目的に投与されるなど,その有用性が知られている。一方で,同薬には固有の苦味があり,服薬困難となってアドヒアランス低下につながるケースが散見されていた。そこで,今回われわれは,同薬をオレンジジュースと一緒に服薬する方法(オレンジジュース群)を考案し,薬剤吸収(血中濃度)および飲みやすさ(5段階味覚評価)への影響を検討した。その結果,水で服薬した場合(対照群)と比べて,オレンジジュース群の血中濃度に差異は無く,飲みやすさで改善が認められた。本法は臨床現場で簡便かつ安全に実施でき,服薬アドヒアランスの向上に期待できるものと考えられた。
著者
尾上 洋一 村上 巧啓 高柳 幹 岩谷 雅子 萱原 昌子 足立 陽子 松野 正知 足立 雄一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1207-1215, 1995
被引用文献数
6

6〜16歳の気管支喘息児51名において4種のゴキブリ特異IgE抗体をRASTおよびCAP-RASTにて測定した. ゴキブリ特異IgE抗体陽性率はRASTでクロゴキブリ17.6%, チャバネゴキブリ29.4%, ワモンゴキブリ19.6%, ヤマトゴキブリ15.7%であり, CAP-RASTではクロゴキブリ, チヤバネゴキプリとも15.7%であった. また, この4種のゴキブリRASTを陰性と陽性に分けて検討すると相関関係が認められた. クロゴキブリおよびチャバネゴキプリ虫体と糞のRASTは相関関係を認め, 2名のゴキブリ陽性患児血清を用いた. immunoblot法では虫体と糞に共通の感作抗原分画を認めた. ゴキブリ抗原吸入誘発試験では既時型の気道反応を示し, RAST抑制試験ではゴキブリ抗原によりダニRASTは抑制されなかった. 以上より小児気管支喘息においてゴキブリはダニとは異なる吸入性アレルゲンとして注目すべきと考えらられた.