著者
伊藤 靖典 足立 陽子 淵澤 竜也 板澤 寿子 足立 雄一 村上 巧啓 宮脇 利男
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.160-165, 2006

喘息治療において有効な治療手段のひとつである吸入療法には, 種々のデバイスが利用されている. 今回, β<sub>2</sub>刺激薬吸入のために導入された定量ドライパウダー式吸入器, クリックヘラーが小児においても使用可能であるかを検討した. 対象は, 定期フォロー中の喘息児91名 (5~8歳, 非発作状態), および小発作または中発作状態の喘息児33名 (4~10歳) で, 吸気動作を指導した後にインチェックを用いて最大吸気流速値 (PIFR) を測定した. 非発作状態では, 5歳で89.7% (26/29), 6歳で95.2% (20/21), 7歳で100% (14/14), 8歳で100% (27/27) の児で正しい吸気動作が行えた. 正しい吸気動作が行えた87名と発作状態の33名では, 肺内への十分な薬物沈着に必要なPIFR (20L/min) が得られた. 以上より, クリックヘラーを用いた吸入療法は, 年少児であっても吸気動作が正しく行える児であれば実施可能であると考えられる.
著者
三原 弘 廣川 慎一郎 伊井 みず穂 若杉 雅浩 帯田 孝之 石木 学 岸 裕幸 北 啓一朗 関根 道和 足立 雄一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.187-192, 2021-06-25 (Released:2021-07-22)
参考文献数
10

コロナ禍で集合型の医行為訓練が困難となり, 新入生蘇生講習会と基本的診療技能実習をビデオ学修・評価とICTを利用して対面指導なしで実施した. 蘇生講習会は自宅でビデオ学修後に, マネキンを用いて自身の実施を撮影し, 後日Zoomでグループ・ピア評価を行ったところ, 自己評価の有意な上昇が観察された. 基本的診療技能実習もビデオ学修をしながら自身のペースに合わせて実施を撮影し, 後日教員がビデオ評価, フィードバックを行った. 例年四肢脊柱実習は実施できていなかったが, 対面指導がないために, 逆に可能となった. 今後, 学生による動画登録と教員による動画評価のタイミングのずれの調整や更なるシステム構築が必要である.
著者
足立 雄一
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.326-329, 2017 (Released:2018-03-31)
参考文献数
12

乳幼児は,その解剖学的ならびに生理学的特性から喘鳴を来たしやすい。呼吸時に聴取される狭窄音である喘鳴は吸気性喘鳴(stridor)と呼気性喘鳴(wheeze)に分類され,一般的には上気道から気管の狭窄ではstridorが,それより末梢側の狭窄ではwheezeが聴取されるとされている。その鑑別にあたっては,乳幼児では呼吸機能などの客観的な指標が得られにくいため,まず詳細な問診ならびに聴診によって疾患を絞り込んだ上で必要な検査を行う。治療に関しては,それぞれの疾患や病態に応じた治療を行うが,喘息を鑑別するにはβ2刺激薬を吸入後に再度聴診所見や努力呼吸の程度を評価したり,吸入ステロイド薬などの長期管理薬を一定期間使用してその効果を評価する。今後は,乳幼児喘鳴のフェノタイプやエンドタイプに基づく治療法の確立が望まれる。
著者
足立 雄一 五十嵐 隆夫 吉住 昭 萱原 昌子 足立 陽子 松野 正知 村上 巧啓 岡田 敏夫
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.40-45, 1991
被引用文献数
2

4例の食物依存性運動誘発性アナフィラキシーを経験した. それぞれの臨床症状について検討し, さらに全員に運動負荷を行い, その前後でCom48/80を用いた皮膚テストを実施した. 症例は男児1名, 女児3名. 13-16歳に発症し, 誘因はエビなどの甲殼類が2名, 小麦およびポテトが1名, 小麦が1名であった. いずれもRASTにて特異的IgE抗体を証明し得た. 運動はランニング, バレーボール, 早足歩行であり, 食後10分から2時間に運動することで発症している. 全員に蕁麻疹を認め, それ以外に意識消失や呼吸困難を認めた. 運動負荷のみでは全員無症状であったが, Com48/80に対する皮膚反応は3例において運動前に比して運動後に増大傾向を認めた. 以上より, 本疾患の発生機序としてアレルギー反応の関与が示唆されたが, 運動による皮膚肥満細胞の活性化の可能性については今後の課題である.
著者
尾上 洋一 村上 巧啓 高柳 幹 岩谷 雅子 萱原 昌子 足立 陽子 松野 正知 足立 雄一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1207-1215, 1995
被引用文献数
6

6〜16歳の気管支喘息児51名において4種のゴキブリ特異IgE抗体をRASTおよびCAP-RASTにて測定した. ゴキブリ特異IgE抗体陽性率はRASTでクロゴキブリ17.6%, チャバネゴキブリ29.4%, ワモンゴキブリ19.6%, ヤマトゴキブリ15.7%であり, CAP-RASTではクロゴキブリ, チヤバネゴキプリとも15.7%であった. また, この4種のゴキブリRASTを陰性と陽性に分けて検討すると相関関係が認められた. クロゴキブリおよびチャバネゴキプリ虫体と糞のRASTは相関関係を認め, 2名のゴキブリ陽性患児血清を用いた. immunoblot法では虫体と糞に共通の感作抗原分画を認めた. ゴキブリ抗原吸入誘発試験では既時型の気道反応を示し, RAST抑制試験ではゴキブリ抗原によりダニRASTは抑制されなかった. 以上より小児気管支喘息においてゴキブリはダニとは異なる吸入性アレルゲンとして注目すべきと考えらられた.