著者
尾崎 克久
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2007-03

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2420号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2007/3/15 ; 早大学位記番号:新4507
著者
荻田 武史 尾崎 克久
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

対称系の固有値問題に対して、ニュートン法系統の2次収束性を持つ固有ベクトルの反復改良アルゴリズムを開発した。これによって、常に最良の近似解(固有値及び固有ベクトル)を得ることが可能な数値計算アルゴリズムの開発も可能となった。対称系の固有値分解については、現在、ハウスホルダー変換による三重対角化を用いる方式が主流であり、それに基づいて様々な数値計算アルゴリズムが提案されているが、本研究における基本方針として、特定のアルゴリズムに依存しない、一般的な高精度化の方式を考え、汎用性を確保した。すなわち、解の初期値を既存の方式で求め、反復改良によって解の精度を改善する方式を考えた。また、上記と並行して、提案アルゴリズムの効率化を高めるために、行列乗算の高精度計算に関する研究も継続して推進した。特に、隣接浮動小数点丸めという性質(これは真値に対して、隣接する浮動小数点数のどちらか一方の数値結果)を満たす、非常に高信頼でかつ高速な行列積アルゴリズムを提案した。問題が良条件な場合、提案手法は近似計算の数倍程度の計算時間により結果を求められることを示した。また、連立一次方程式や固有値問題に関して、高精度計算アルゴリズムを提案した場合、その厳密な検証法が必要になる。真の解が事前にわかる連立一次方程式、真の固有値(特異値)が事前にわかる行列の生成法について研究した。提案手法は連立一次方程式においては行列・ベクトル積のみ、固有値問題については行列積1回またはそれ以下の計算コストで連立一次方程式や行列を生成可能である。連立一次方程式に対するテスト問題の研究結果は論文として採録された。さらに、上記の研究によって開発した固有値分解における新しい数値計算アルゴリズムをもとに、計算量の再定義を行った。